研究課題
肝虚血再潅流障害後の肝組織修復制御機構におけるBLT1受容体シグナルの役割を解明するために、BLT1受容体ノックアウトマウス(BLT1-/-)並びに野生型マウス(WT)を用いて検討をおこなった。その結果、肝虚血再潅流後の肝組織修復過程にはBLT1受容体シグナルを介してマクロファージが障害肝に集積し、修復が促進していることが示唆された。さらに肝修復に関与するマクロファージは血管内皮増殖因子1型受容体(VEGFR1)陽性マクロファージであり、BLT1受容体シグナルに依存して肝障害部位に集積しEGF(Epidermal growth factor)を産生することで肝修復が促進されることが示唆された。VEGFR1受容体シグナルの役割を調べるためにVEGFR1ノックアウトマウスを用いて検討したところ骨髄由来VEGFR1陽性マクロファージの集積が肝組織修復制御機構に関与していた。VEGFR1受容体シグナルは肝障害後の肝類洞修復にも関与しているだけでなく、下肢虚血後の血管新生にも重要な役割を果たしていることが示唆された。さらにマクロファージの特性を検討すると、M1型マクロファージよりM2型マクロファージである可能性が示唆された。このことから、BLT1受容体シグナルは肝修復に重要な役割を果たす脂質メディエーターである可能性が示された。
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PlosOne
巻: 10 ページ: e0131445
10.1371/journal.pone.0131445