研究実績の概要 |
現在までの研究状況の概要: 当科では2005年2月から、UICC-T3, T4の局所進行膵癌に対しGEMを用いた化学放射線療法(GEM-CRT)を124例に、また膵癌に対するS-1の効果が明らかとなった2011年以後はGEM plus S1 (GS)-CRTを103例に施行し、その後治癒をめざした外科的切除、術後補助化学療法からなる集学的治療を220例以上に行い良好な成績を得ている(文献1)。また、Human equilibrative nucleoside transporter (hENT1)はGEMの主要な腫瘍細胞内輸送蛋白であり、これまでに我々は、NCRT施行後に膵切除術を行った局所進行膵癌患者55例を対象に、腫瘍組織中のhENT1発現レベルを検討し、hENT1/TSは有用な予後規定因子であることを報告した(文献2)。また、治療前のEUS-FNAB検体を用いた免疫組織染色にてhENT1発現を検討し得た51例 (UICC-T3: 28例、T4: 23例) を対象に、治療前のhENT1発現とGEM-CRTの治療効果を検討したところhENT1陽性の切除例は、生存期間中央値が30ヶ月以上と著名な延長を示しているのに対して、hENT1陰性の切除例は、非切除例と同様に約9ヶ月と予後不良であることが判明した。すなわち、このGEM抵抗性膵癌であるhENT1陰性例に対する治療戦略の確立が急務であると考える。 1) Desaki R, Mizuno S, Tanemura A, et al. A new surgical technique of pancreaticoduodenectomy with splenic artery resection (PD-SAR) for ductal adenocarcinoma of the panceratic head and/or body invading splenic artery: impact of the balance between surgical radicality and QOL to avoid total pancreatectomy. BioMed Research International 2014; 2014: 219038. 2) Murata Y, Mizuno S, Kishiwada M, et al. The impact of histological response after neoadjuvant chemoradiotherapy on recurrence free survival in UICC-T3 pancreatic adenocarcinoma but not in UICC-T4. Pancreas. 2012 Jan;41(1):130-6.
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