研究課題/領域番号 |
25462120
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
七島 篤志 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (60380838)
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研究分担者 |
阿保 貴章 長崎大学, 大学病院, 助教 (70404267)
永安 武 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80284686)
磯本 一 長崎大学, 大学病院, 准教授 (90322304)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 糖鎖連結クロリン / 光線力学療法 / 胆道癌 / 膵癌 |
研究概要 |
糖鎖連結クロリンを用いた胆道癌(NOZ)に対する光線力学療法の基礎研究に行うにあたり、まず照射条件の設定を行った。糖鎖連結クロリンの細胞毒性は1~20ug/mlにおいて薬剤添加4時間後にMTS asseyを行い評価したところ、17ug/ml以上の濃度では細胞毒性を認めたため、それ以下の濃度で実験を行うこととした。次に1~11ug/mlまでの濃度で光照射(660nm)を行い24時間後にMTS asseyを行ったところ、濃度依存性に殺細胞効果が認められた。 次にIC50(照射量:5J)での比較においては、糖鎖連結クロリンにおいて約4分の1の濃度でIC50が得られた。(糖鎖連結クロリン:1.16uM,レザフィリン:5.17uM) また、IC50の濃度でのPDT後にannexin V、エチジウムホモダイマーIIIを用いて蛍光染色を行ったところ、PDTによる細胞死がアポトーシスによることがわかった。この蛍光色素を用いて染色しフローサイトメトリーを行ったところ、糖鎖連結クロリンPDTの方がアポトーシス誘導効果が高いことが確認された。また、経時的にみてもアポトーシス細胞が徐々に増加していることが認められた。 膵癌細胞(Mia-pa-ca)における条件設定では、糖鎖連結クロリンの細胞毒性は1~11 ug/mlにおいて薬剤添加4時間後にMTS asseyを行い評価したところ、細胞毒性は認められなかった。次に、1~11ug/mlまでの濃度で光照射(660nm)を行い24時間後にMTS asseyを行ったところ、濃度依存性に殺細胞効果が認められた。次にIC50(照射量:2J)での比較においては、糖鎖連結クロリンにおいて約10分の1の濃度でIC50が得られた。(糖鎖連結クロリン:0.95uM,レザフィリン:10.95uM)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胆道癌細胞株(NOZ)に対する糖鎖連結クロリンによるPDTの効果をレザフィリンと比較検討する実験において、in vitroでの実験がほぼ終わり、in vivoでの実験に移行している。(NOZ細胞株をヌードマウスの皮下に移植した。) in vitroの実験においてはアポトーシスの証明に現在はアネキシンVの蛍光染色にておこなっており、今後はPI染色を用いて細胞周期の解析をおこなう。また、電気泳動によりDNAラダーの検出を行いアポトーシスを証明する。 膵癌細胞株(Mia-pa-ca)の実験も並行して勧めておりin vitroで行う実験の半分ほど終了している。(細胞毒性、IC50の比較)
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今後の研究の推進方策 |
in vitroにおいては、NOZ細胞に対し糖鎖連結クロリンによるPDTを行い、その細胞からDNAを抽出し電気泳動によってDNAラダーを確認しアポトーシスを証明する。また、TUNEL法によってアポトーシスの確認を行う。 in vitroの結果をうけてin vivoにおいて、ヌードマウスの背部にNOZ細胞を皮下移植し、糖鎖連結クロリンPDTを行い、腫瘍増殖抑制効果をレザフィリンPDTと比較検討する。また、PCNA染色やVEGF染色を行い評価検討する予定。 膵癌細胞株の実験においてはIC50の比較、annexin V、エチジウムホモダイマーIIIを用いて蛍光染色を行いアポトーシス誘導率の比較、DNAラダーの検出を行い、in vivoでの実験に移行する。
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