研究課題
膵癌に対する化学療法はゲムシタビン(Gem)が広く使用されているが,その効果は十分に満足いくものではない.その理由にはGemに対する耐性化がある.そのメカニズムの解明のために膵癌細胞株(AsPC-1およびMIA PaCa-2)を用いてGem耐性膵癌細胞株を樹立した.一方,我々は今までに,CXC-Chemokine/CXCR2 axisを中心としたケモカインネットワークが膵癌血管新生に重要な役割を果たしていることを報告してきた(Matsuo Y et al., Int J Cancer, 2009).膵癌患者の膵液中のCXC-Chemokineの濃度は,非癌患者から採取した膵液中のそれより高値であった.膵癌細胞株でも,樹立したGem耐性株(Gem-R PaCa)は,Gem感受性株(Gem-S PaCa)よりCXC-Chemokine(CXC8/IL-8)の分泌が亢進していた.In vitro angiogenesis assayでも GEM-S PaCaに比べて,Gem-R PaCa は血管内皮細胞(VEC)の管腔形成能を亢進した.また,これはCXC-Chemokine/CXCR2 axis の抑制(CXCR2 Ab)により有意に抑制された.本年度は昨年用いたAsPC-1以外にMIA PaCa-2でも同様の結果を得た.MIA PaCa-2 Gem-RはMIA PaCa-2 Gem-Sに比べてCXCL8/IL-8の分泌が亢進しており,MIA PaCa-2 Gem-RはよりVECの管腔形成能を亢進した.以上より,膵癌はGem耐性によりCXC-Chemokineの発現を亢進し血管新生を亢進することが確認でき,そのシグナルのレセプター抗体(CXCR2抗体)療法はGem耐性膵癌への臨床応用の可能性が示唆された.
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