研究課題
本研究は胆管がんの胆管腔内からの光線力学的治療(photodynamic therapy以下、PDT)の確立を目指したものである。胆管が肝内を樹状に走行しており、最終的には1本になって十二指腸へ開口する。本研究で開発している複合型細径ファイバの外径は1mm弱である。2017年度に大動物を用いた実験を行った際、同ファイバを損壊したため、予定より1年の延期を余儀なくされた。2018年度の研究目標は2017年度と同じく、『外力に対し脆弱な細径ファイバを生体内深部まで、いかに安全に簡便に到達させるか』ということである。1. 内部にファイバを通す鞘(シース)の改良:内視鏡の鉗子口への容易な挿入のため、既成の内視鏡用カニューレを改造した。1) 末端の胆管への選択的挿入のため、先端に屈曲形状をつけた。2) 胆管内腔を満たす胆汁を洗浄するため、術者側末端に生理的食塩の滴下口を取り付けた。3) 適切な洗浄速度を決定した。2. 大動物の胆道(胆嚢)を用い、本ファイバの画像の鮮明度を調べた。⇒ 現在の主流であるCCDカメラには遠く及ばなかった。しかしながら超細径という本ファイバの特性上、改良は出来なかった。3. PDTの実際:大動物(豚)での照射に留まり、人への施行には至らなかった。大動物の胆道への照射は施行可能であった。PDT施行直後、および四週間の経過観察後の胆道を採取し、病理学的検討を行った。結果、PDT直後の正常胆道粘膜には微小血管からの出血とうっ血、組織間隙の浮腫がみられたが、粘膜の脱落はなかった。同所見は四週間後には消失し、ほぼ正常粘膜の状態に戻っていたことを確認した。
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