膵癌細胞株から塩酸ジェムシタビン耐性株MIA-GEMRを樹立し、KRAS変異に関与する細胞シグナルを検討した。MIA-GEMRは上皮間質転換様の形質変化と浸潤性増加を示しており、大腸癌のKRAS変異の誘導に類似していた。とりわけ、変異KRASの調整は幹細胞特異的遺伝子とTGF-β1標的遺伝子と重複しており、KRASが形態や周囲微小環境に影響を与えていることが示唆された。さらに、ホスホジエステラーゼ阻害剤はMIA-GEMRの増殖を抑制した。これらの結果は、KRASの下流シグナルTGF-β1が膵癌細胞株MIA PaCa-2の塩酸ジェムシタビン耐性に関与していることを示唆している。
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