研究課題/領域番号 |
25462139
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
三島 晃 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00254277)
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研究分担者 |
浅野 実樹 常葉大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20275134) [辞退]
鵜飼 知彦 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40347399) [辞退]
野村 則和 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80363935)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 選択的脳灌流 / 脳虚血モデル / 肺高血圧 |
研究実績の概要 |
平成26年度に実験計画書(No.H26M-26)を策定し実験環境を整備し、予備実験を行った。これを受けて平成27年度に至りようやく成獣ラットによる脳灌流の本実験を開始し、肺高血圧幼若ラットの選択的脳灌流を目指し以下の項目を実施した。 【1】実験計画書の変更(No.H27M-30(平成27年6月4日 医学研究科承認)):平成26年に策定した脳灌流モデル(No.H26M-26)では成果が期待できない可能性が高く、椎骨動脈の焼灼処置を追加した実験計画書を大学の倫理規定に基づき新規に作成し、承認された。【2】椎骨動脈処置の脳虚血モデルの確立:椎骨動脈を前日に焼灼する手技、特に頭位固定と椎骨動脈焼灼の術野を露出する手技確立に難渋した。麻酔や体位の工夫により椎骨動脈処置が安定して行えるようになった。【3】脳灌流実験を実施:椎骨動脈を前処置した成獣ラットを用い選択的脳灌流の実験を行い、血行動態などのデータも併せて収集した。【4】脳の病理学的検討:本実験(対象と灌流)の成獣ラットの脳を固定し、病理標本を作成して、成獣ラットの脳病変について検討した。【5】肺高血圧幼若ラットの実験環境整備:幼若ラットの実験は実施できなかった。成獣の選択的脳灌流実験で脱血に難渋したことを受け、幼若ラットの小さな個体でも円滑に脱血できるように規定に従い実験計画書の変更を申請し、平成28年3月31日に承認された。幼若ラットの実験の環境が更に整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究目的は「肺高血圧幼若ラットにおける選択的脳灌流による脳障害の解析」だが、肺高血圧幼若ラットの選択的脳灌流実験が平成27年度に至っても十分実施できていないため、実験の達成度を「遅れている」と判断した。実施できなかった主たる理由は以下の4点である。 【1】実験成果を上げるために椎骨動脈の処理操作を追加し、実験計画を見直した。これに伴い新たな実験計画書(No.H27M-30)を策定し承認が得られるまで実験ができなかった。【2】椎骨動脈を焼灼処置する手技習得に難渋し、手技安定に工夫と時間を要した。【3】成熟ラットの選択的脳灌流実験手技は幼若ラットへの適応が予想以上に困難であった。特に脱血の安定化に課題があり、実験計画書(No.H27M-30)の若干の変更が必要となった。【4】臨床も担当する実験予定者が本人都合により2名退職し、病院の診療業務(手術など)が更に増え、実験時間の確保が困難となった。実験が断続的となり新たな実験技術の習得に難渋した。また本研究を支援する生理学教室の担当者との実験日程の調整にもやや難渋し、実験日や時間に制約があった。
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今後の研究の推進方策 |
(1)実験時間の確保:平成28年4月より臨床業務を担当する教室の外科医が1名増員した。実験担当者の臨床業務を極力削減し、実験と研究の時間を確保できる体制とする。また要請に応じて実施していた実験責任者の外勤を完全になくし、定期的な実験時間が不測の手術などを除けば確保できる状況となった。 (2)肺高血圧幼若ラットの作成:低酸素環境による肺高血圧モデル作成の環境は既に整っている。この環境でラットを飼育し肺高血圧発症を確認する。 (3)幼若ラットの手術手技の確立と実施:本実験の最終目標であり、科研費補助期間延長を申請した。幼若ラットでの椎骨動脈処置の実験精度を高め、成果の期待できる椎骨動脈離断を図った脳虚血実験を行う。小さな個体で安定した脱血を確保するため、実験計画書の変更も承認されている。 (4)脳組織標本の作製:本研究を支援する当大学生理学教室の脳標本作製技術はほぼ完成している。本研究を支援する生理学教室の担当者との日程調整を行い、実験と脳標本作製を円滑に進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
肺高血圧幼若ラットの実験が本研究の目的であるが、これに関する実験が実施されず、予算執行ができず次年度使用額が発生した。実験の遅れにより次年度使用額が発生したが、主たる遅れの原因は次の4点である。【1】新たな実験計画書(No.H27M-30)を策定し承認まで実験ができなかった。【2】椎骨動脈を焼灼処置の手技安定に工夫と時間を要した。【3】成熟ラットの選択的脳灌流実験手技は幼若ラットへの適応が予想以上に困難で、実験計画書(No.H27M-30)の若干の変更が必要となった。【4】実験予定者が2名退職し、生理学教室の担当者との実験日程の調整が困難で、実験日や時間に制約があった。
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次年度使用額の使用計画 |
肺高血圧幼若ラットの育成と脳灌流実験の実施に使用する。実験を可能とするため以下の対策を立てている。①本実験の最終目標である幼若ラットの手術手技の確立と実施のため、科研費補助期間延長を申請した。②教室員増員と外勤停止により実験時間の確保する、③既に整備した低酸素環境による幼若ラット肺高血圧モデル作成の環境を点検し、当該ラットを育成する、④脳組織標本の作製のため試薬などを購入する。
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