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2013 年度 実施状況報告書

RNAシークエンスを用いた閉鎖型人工心肺装置の有用性の検討

研究課題

研究課題/領域番号 25462143
研究機関自治医科大学

研究代表者

山口 敦司  自治医科大学, 医学部, 教授 (50265287)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード心臓手術 / 閉鎖型人工心肺回路 / 免疫応答 / 網羅的遺伝子解析
研究概要

心臓手術に使用する人工心肺装置は、現在国内外の95%以上の施設が、人工心肺装置内の静脈血貯血槽が大気に開放された開放型回路を採用している。開放型回路は、体外循環血液が貯血槽内で大気に触れるため、血球成分が障害を受け、炎症性物質が活性化され、生体適合性に問題がある可能性が指摘されてきた。当施設は、閉鎖回路の有用性を認識し、1999年から心臓手術で導入した実績を有する。臨床検体を使用した本研究では、閉鎖回路の有用性を遺伝子・分子レベルでの解析で明らかにし、人工心肺装置の技術向上と患者予後の改善を目指すことを目的とする。
心臓手術で使用される人工心肺が免疫系に及ぼす影響に関しては、これまで補体系の活性化が報告されてきたが、分子細胞レベルに解析した研究自体が少ないため、まず、基礎実験として、人工心肺回路使用時の免疫応答・炎症反応の推移を解析する研究を開始した(平成25年度3月倫理委員会での研究承認)。本基礎研究では、通常使用される開放型回路とほぼ同一の人工心肺回路を閉鎖回路に適用し、人工心肺使用前、人工心肺終了直後、人工心肺終了24時間後と3時相で採血を行い、末梢血単核球を抽出し、FACS(細胞内サイトカイン染色)により、CD4+T細胞、CD8+T細胞のサイトカイン産生能(インターフェロンγ、IL-4、IL-17)を解析するとともに、末梢血単核球からCD4+T細胞、CD8+T細胞をMACS細胞分離で単離後RNAを抽出し、real-time PCRでそれぞれの細胞におけるサイトカイン発現を解析する。現在、検体収集の段階だが、平成26年6月までに本基礎実験を遂行する予定である。次段階として、開放型人工心肺回路、閉鎖型人工心肺回路2群間での人工心肺使用時の免疫応答の差異を、次世代シークエンス法もしくはマイクロアレイ法により網羅的に遺伝子レベルで解析する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当施設倫理委員会による研究許可が、平成26年3月と遅れたこともあり、現在、まだ基礎実験実施中の段階で、当初の研究計画よりやや遅れている状況であるが、6月中に基礎研究の検体収集を終了する予定であるので、今後、研究予定に沿った実験内容の遂行に向け、努力していきたいと考える。

今後の研究の推進方策

本年6月までに、人工心肺使用時のT細胞を中心とした免疫応答に関する基礎実験を終了する予定である。平成26年度は、当初平成25年度に開始予定であった実験を遂行する予定である。具体的には、組織からRNAを抽出し、下記の実験を行う。
(1)RNAシークエンス法によるRNAプロファイル評価:次世代RNAシークエンス法による網羅的遺伝子解析を予定しているが、予算等の事情から実施困難と判断とされた場合には、代替案としてマイクロアレイ法の使用も検討している。その後、Bioinformatic分析を行い、閉鎖型回路で選択的に発現が影響される免疫系の同定を行う。(2)Real-time PCR法による遺伝子発現レベルの測定:(1)で同定された免疫系をReal-time PCR法で測定し、上記プロファイル評価の妥当性を検証する。(3)凍結保存した組織サンプルを使用し、ELISA、Western blottingによる蛋白質レベルでの発現の確認も合わせて行う。

次年度の研究費の使用計画

当施設倫理委員会による研究許可が、平成26年3月と遅れたこともあり、現在、まだ基礎実験実施中の段階で、当初の研究計画よりやや遅れている状況であるため。
平成26年度は下記内容で研究費を使用する予定である。
①8lanes HiSeq run:1,000,000¥ ②RNA抽出キット:300,000¥ ③Real-time PCR試薬:400,000¥④Bioinformatics解析経費:500,000¥⑤ELISAキット:300,000¥⑥Western blottingキット:300,000¥⑦旅費(米国心臓病学会):300,000¥

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公開日: 2015-05-28  

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