心房細動患者さんのメイズ手術より得られた左房組織から分別した線維芽細胞では、筋線維芽細胞が高発現している。筋線維芽細胞は、周辺の急性炎症や慢性炎症の結果生じる病態心でみられる間葉系細胞の収斂スポットである。皮膚線維芽細胞や心臓線維芽細胞と比較して形態、増殖性はほとんど差異を認めないが、少なくともこれを用いたiPS細胞誘導はほぼされない。遺伝子レベルでは、αーSMAやMyoDを高発現しているが、iPS細胞誘導抑制原因遺伝子の道程はされていない。いくつかの論文ではHDAC阻害薬を用いて筋線維芽細胞を心臓線維芽細胞に変換を試みている論文が存在するが、メイズ手術を受けるほどの比較的重症度の高い患者さんより得られた臓器なので、この阻害薬とiPS細胞誘導の組み合わせではiPS細胞は誘導されなかった。最近の論文では、iPS細胞誘導の際、山中4因子導入後に間葉系遺伝子のdownregulationが生じることをしてしているが、筋線維芽細胞を用いた場合、それは生じないことが判明した。
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