研究課題/領域番号 |
25462153
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
津田 有輝 産業医科大学, 医学部, 助教 (50525491)
|
研究分担者 |
中村 都英 宮崎大学, 医学部, 教授 (10207871)
江石 清行 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20167290)
田代 忠 福岡大学, 医学部, 教授 (20268981)
尾辻 豊 産業医科大学, 医学部, 教授 (30264427)
川筋 道雄 熊本大学, その他の研究科, 教授 (40135067) [辞退]
國吉 幸男 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50153317)
西村 陽介 産業医科大学, 大学病院, 准教授 (50301338)
井本 浩 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60274461)
富永 隆治 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70136464) [辞退]
田中 啓之 久留米大学, 医学部, 教授 (70197466)
森田 茂樹 佐賀大学, 医学部, 教授 (70243938)
宮本 伸二 大分大学, 医学部, 教授 (70253797)
塩川 祐一 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70457422) [辞退]
坂口 尚 熊本大学, その他の研究科, 講師 (70346980) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 人工弁置換術 / 抗血小板療法 / 日本人 / 有効性と安全性 |
研究実績の概要 |
人工弁(機械弁)置換術後の患者は血栓塞栓症予防のため、ワルファリンによる抗凝固療法が生涯にわたり必須であるが、ワルファリンは治療域が狭く、高容量では出血リスクが、低容量では全身性塞栓症のリスクが問題とされる。近年、塞栓症に対する抗血小板療法の有用性が注目され、外国では人工弁置換術後の症例にはワルファリンに抗血小板薬(アスピリン)を併用した方が予後良好という報告があり、ACC/AHAガイドライン上、ワルファリン+アスピリンが全ての症例でクラスⅠの適応となっている。しかしながら日本人における人工弁置換術後の抗凝固・抗血小板療法に関する大規模な臨床試験はほとんど見当たらず、日本での人工弁置換術後のアスピリン併用に関しては日本循環器学会ガイドライン上も取扱が不明瞭である。本研究の目的は人工弁(機械弁)置換術後に抗凝固療法の適応となる日本人症例において、脳血栓・塞栓症や一過性脳虚血発作(TIA)、心筋梗塞、全身性塞栓症の発症、また頭蓋内出血や消化管出血等の出血性合併症の発症、および心血管疾患による死亡の発生を、ワルファリン単独群(W群)およびワルファリン+低容量アスピリン併用群(W+A群)で比較・検討し、日本人の機械弁置換術後患者における抗血小板療法の根拠に基づく医療(EBM)を確立することである。平成25年4月から平成28年3月の36カ月の間に、九州・沖縄地区の11大学病院にて研究の同意が得られ機械弁置換術が施行された症例は133例(男性83例、女性50例)、平均年齢57±12歳(18~80歳)、W群54例、W+A群79例であった。大動脈弁置換術が最も多く続いて僧帽弁置換術が多かった。機械弁の種類はSJMが最も多く、次にATSが多かった。周術期死亡は0例であった。2弁置換術施行症例が9例含まれていた。塞栓症や出血性合併症はこの36カ月で報告がなかったが、W+A群で1例貧血進行があり、骨髄穿刺にて骨髄抑制が報告されアスピリンを中止となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、九州・沖縄地区11大学病院での多施設共同研究であり、研究への同意が得られ人工弁(機械弁)置換術を受けた症例が適応となる。11病院全体での手術件数を年間200件程度を想定していたが、昨年一年間で新たに追加登録されたのは53症例で、合計133症例に留まっている。やや遅れている理由として、近年人口の高齢化に伴い大動脈弁狭窄症自体は増加しているが、高齢者症例に対しては機械弁よりも生体弁がより多く用いられていること、平成25年10月より経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)が健康保険の適応となり、手術リスクが高い症例では機械弁置換術が少なくなった可能性があり、機械弁置換術の総数が当初の計画より少ないことが考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
登録症例数を増やすため、今後メーリングリストなども活用して、九州・沖縄地区大学病院の連絡・連携をさらに深め、登録数増加の協力をこれまで以上にお願いする。また、当初の計画では人工(機械)弁置換術を行う研究登録期間を2年間、その後の塞栓症・出血性合併症などの研究観察期間を5年間としていたが、症例数増加のため、平成27年度のもう一年間を研究登録期間として延長することとした。研究代表者の所属施設倫理委員会および各研究分担者の所属大学病院においても倫理委員会で登録延長が承認されており、150症例を目標として登録症例数を増やす。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、予想より物品費が消費されたが、旅費が消費されなかった。研究の打ち合わせや報告会が他の参加・出席学会と重なり、旅費の消費が予想より少なかったと考えられる。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年度以降は、研究の打ち合わせや報告、学会発表など旅費消費のペースがさらに上がると思われる。
|