糖尿病患者のパイパス血管は、体内に移植された後で異常な収縮を起こす傾向にある。主要な実験結果は、①アンジオテンシンⅡ(Angll)やセロトニン(5-HT)のような血管収縮物質が引き起こす反応が、糖尿病患者から摘出された伏在静脈や内胸動脈で有意に大きい。②糖尿病患者のAngllや5-HT2A受容体の内胸動脈細胞膜蛋白レベルは非糖尿病患者に比べて有意に増加している。③しかし、糖尿病の伏在静脈ではAngll受容体蛋白レベルのみが有意に増加しているが5-HT受容体レベルでは変化がない。これらの結果から、糖尿病患者の5-HTによる反応性増大分子メカニズムは、動脈と静脈血管において異なることが示唆された。
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