研究課題
腹部大動脈瘤の拡大と関連のある因子を見つけ出すため、東北大学病院移植再建内視鏡外科に通院中の手術適応でない小径腹部大動脈瘤患者を対象とした前向き臨床研究を行った。H28年度については新規患者登録は終了していたため、登録したフォロー中の患者の経過観察、データ収集を行った。現在のところまでの解析(登録対象者数約80名)では2回のCT検査から腹部大動脈瘤の拡大速度を算出し、拡大速度と評価項目との相関を単変量解析・多変量解析にて分析した。拡大速度と関連があった因子としては性別(女性)、降圧剤内服、α遮断薬内服、登録時瘤径、TAT、Dダイマー、FDP、リポ蛋白(a)、リン、体重、ビリルビン、総蛋白、アルブミン、鉄であった。これらの項目で多変量解析を行ったところ、登録時瘤径は拡大傾向促進と関連する因子であり、降圧剤内服・体重・総蛋白は拡大抑制と関連する因子であると考えられた。さらに、登録時瘤径が40mm以上の対象者でサブ解析を行ったところ、多変量解析で大動脈瘤拡大と関連するのはDダイマー、抑制的に関連するのが総蛋白・アンギオテンシンIIレセプター拮抗薬内服であった。糖尿病(糖尿病の既往、治療内容、血糖値、HbA1C)については大動脈瘤の拡大傾向と負の相関を示す傾向を多少認めたが、対象数が十分でなかったためか現時点の解析では有意差は得られなかった。データ解析については現在も進行中であり、今後も学会発表や論文作成などを行う予定であり。
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