ミニ豚8頭に対し、全身麻酔下に透視用Cアームを用いて大腿動脈よりコントロール金属ステントと生体吸収ステントをそれぞれ腸骨動脈に留置した。ステント留置前には全例、血管撮影および血管内超音波を施行し、至適ステントサイズを同定した。ステント留置後も血管撮影および血管内超音波を施行し、ステントが的確に留置されていることを確認した。全例手技的成功を得た。ステント留置後は抗血小板剤を内服させた。留置8週後に血管撮影および血管内超音波検査を行った後、ステント留置部血管を露出、採取しホルマリン固定した。全例、コントロールステントおよび生体吸収ステントともに開存を得た。採取した検体はステント留置近位部、中間部、遠位部で切片を作成し、HE染色およびElastica van Gieson染色を行い病理組織学的検討を行った。両群ともに著明な内膜肥厚を認め、また生体吸収ステント群では中膜領域の肥厚も顕著であった。それぞれ画像解析ソフトを用い、血管壁全体、内膜肥厚、中膜肥厚部の面積を同定し、統計学的解析を行った。狭窄率に有意差なく、新生内膜面積は有意にコントロールステントが大きかった。中膜面積は有意に生体吸収ステントが大きかったが、血管リモデリングには有意差はなかった。ステント留置部の血管内超音波データは現在解析中である。また、病理組織学的にステント留置部の炎症スコアおよび血管損傷スコアを検討中で、こちらも統計学的解析を行う予定である。
|