研究概要 |
Survivinの免疫組織化学的検討に用いた100例の非小細胞肺癌切除例の腫瘍凍結標本より凍結切片を作成し、HE染色にて腫瘍部の80%以上が癌細胞で占められている82例を選択し、RNAの抽出を行い、260nm/280nm吸光度比1.8以上の73例を解析に用いた。これら73例に関しては、臨床上の予後情報として、肺切除後の全生存期間を収集した。またコントロールとして肺正常組織の凍結標本20例からも同様にRNAを抽出した。Survivinのsplice variantsである、Wt, Ex3, 2B, 3B, 2alphaのmRNA量を比較Ct法にて算出した。Survivin variantsの発現量はは、平均値でWt:110, Ex3:9.2, 2B:16, 3B:23,7, 2alpha:7.2であった。正常組織では、Wt:2.2, Ex3:0.5, 2B:3.2, 3B:1.2, 2alpha:77であった。Survivin総発現量に対する発現割合が最大のものは、73例中59例がWt, 8例が3B、2Bと2alphaがそれぞれ3例であった。正常組織では、20例中19例が2alphaであった。Wt, Ex3, 2B, 3Bでは正常肺組織の10倍の発現量を、2alphaでは1/10をカットオフ値として、これ以上を高発現群、以下を低発現群として、年齢、性別、組織型、リンパ節転移を共変量として加え、Cox 比例ハザードモデルによる多変量解析を実施した。その結果、3B高発現群が独立した予後不良因子として、また2B高発現群が独立した予後良好因子として同定された。
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