肺癌症例における血中遊離癌細胞の転移形成能獲得メカニズムの解明

2015 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 25462176
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 舟木 壮一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50464251)
• 研究分担者: 南 正人 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10240847) ; 井上 匡美 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10379232) ; 奥村 明之進 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40252647) ; 澤端 章好 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50403184) [辞退] ; 中桐 伴行 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 招へい教員 (70528710) ; 新谷 康 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90572983) ; 川村 知裕 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30528675)
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2016-03-31
• キーワード: 肺癌 / 転移 / 循環癌細胞

研究実績の概要

血中循環癌細胞は様々な癌種においてバイオマーカーとしての有用性が報告され、癌の治療効果および予後予測のバイオマーカーとして注目されてきた。また肺癌においても、血液中循環癌細胞が肺癌の診断および治療効果予測に有用であることが報告されている (血中循環癌細胞の検出法は過去に様々な方法が報告されているが、いずれも完全なものではなかった。今回我々は、血中に流れている形態とその大きさに着目した腫瘍同定法を用い、腫瘍転移とその臨床背景を明らかにすること目的とした。担癌患者の血中にて検出される癌細胞は、循環癌細胞（circulating tumor cells;CTCs）と呼ばれ新規バイオマーカーとして期待されている。また、CTCs中には、単一細胞や集塊形成（Clustered CTCs；CS）など様々な形態をとり、CSの存在は、高い悪性度を示すことも最近報告されている。一方検出法も様々報告されている。今回われわれは、血球細胞と上皮、癌細胞の細胞径差に着目し、フィルターによるサイズ選択的腫瘍細胞検出法にてCTCｓを同定し、特にCSの存在と、その臨床学的背景との関連性について検討し。さらにそれらの培養を試みた。
本年度は21例症例おいてサイズ選択的に腫瘍検出を行った。平均年齢70歳,病理病期ではpIA/IB/IIB/IIIA;7/11/2/1であった。CSは3例認め、単一癌細胞の形態をとっているS群；singular cellが1例、癌細胞を認めなかったものがN群；non cancer cellsが17例であった。それら形態と臨床背景因子との相関を調べたところ、症例数が少なくいずれも有意な関係は認めなかったが、CS群ではIB以上の進行期であり、N群の大半はIAであった。腫瘍マーカーとの関連性ではCS群では全例標準以上の高値であった。また細胞培養は5例で行った。一般的に循環癌細胞は少ないため、比重遠心法にてenrichした状態で、培養行い約2週間の培養続けるもいずれも、細胞増殖は確認できなかった。

研究成果

• [雑誌論文] Lung excision of non-small-cell lung cancer leaves cancer cells in residual lobe: cytological detection using pulmonary vein blood. (2016)
  • 著者名/発表者名: Sawabata N, Funaki S, Shintani Y, Okumura M.
  • 雑誌名: Interact Cardiovasc Thorac Surg 巻: 22 ページ: 131-5
  • DOI: 10.1093/icvts/ivv301
  • 査読あり
• [雑誌論文] Global DNA hypomethylation coupled to cellular transformation and metastatic ability (2015)
  • 著者名/発表者名: Funaki S,Nakamura T, Nakatani T, Umehara H, Nakashima H, Okumura M, Oboki K, Matsumoto K, Saito H, Nakano T
  • 雑誌名: FEBS letter 巻: 589 ページ: 4053-4060
  • DOI: 10.1016/j.febslet.2015.11.020.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Atrial natriuretic peptide prevents cancer metastasis through vascular endothelial cells (2015)
  • 著者名/発表者名: Nojiri T,Hosoda H, Tokudome T, Miura K, Ishikane S, Otani K, Kishimoto I,Shintani Y, Inoue M, Kimura T, Sawabata N, Minami M, Nakagiri T, Funaki S, Takeuchi Y, Maeda H, Kidoya H, Kiyonari H, Shioi G, Arai Y, Hasegawa T, Takakura N, Hori M, Ohno Y, Miyazato M, Mochizuki N, Okumura M, Kangawa K
  • 雑誌名: Proc Natl Acad Sci U S A. 巻: 112 ページ: 4086-91
  • DOI: 10.1073/pnas.1417273112.
  • 査読あり
• [学会発表] 胸腺腫におけるPD-L1発現の臨床学的意義 (2015)
  • 著者名/発表者名: 舟木壮一郎、福井絵里子、川村知裕、木村 亨、新谷 康、南 正人、奥村明之進
  • 学会等名: 第56回日本肺癌学会学術集会
  • 発表場所: 横浜
  • 年月日: 2015-11-26 – 2015-11-28
• [学会発表] 非小細胞肺癌におけるPodocalyxinの臨床学的意義 (2015)
  • 著者名/発表者名: 楠本英則、新谷 康、川村知裕、舟木壮一郎、井上匡美、別所俊哉、南 正人、奥村明之進
  • 学会等名: 第56回日本肺癌学会学術集会
  • 発表場所: 横浜
  • 年月日: 2015-11-26 – 2015-11-28
• [学会発表] ANPの血管保護作用による術後再発予防効果 －前向き多施設臨床研究開始に向けて－ (2015)
  • 著者名/発表者名: 野尻 崇、細田洋司、徳留健、三浦浩一、新谷康、木村亨、井上匡美、南正人、竹内幸康、前田元、宮里幹也、寒川賢治、奥村明之進
  • 学会等名: 第53回日本癌治療学会学術集会
  • 発表場所: 京都
  • 年月日: 2015-10-29 – 2015-10-31
• [学会発表] 上皮間葉転換EMTを標的とした肺癌治療の開発 (2015)
  • 著者名/発表者名: 新谷 康、藤原綾子、木村 亨、川村知裕、舟木壮一郎、井上匡美、南 正人、奥村明之進
  • 学会等名: 第68回日本胸部外科学会定期学術集会
  • 発表場所: 神戸
  • 年月日: 2015-10-17 – 2015-10-20
• [学会発表] Clinical significance of Programmed Death 1-Ligand 1(PD-L1) in human Thymic cancer (2015)
  • 著者名/発表者名: 舟木壮一郎、福井絵里子、川村知裕 、新谷 康、木村 亨 、南 正人、奥村明之進
  • 学会等名: 第68回日本胸部外科学会定期学術集会
  • 発表場所: 神戸
  • 年月日: 2015-10-17 – 2015-10-20
• [学会発表] Activation of TGF β-IL6 axis mediates chemoresistance in non-small cell lung cancer by increasing epithelial-mesenchymal transition signaling (2015)
  • 著者名/発表者名: Shintani Y,Funaki S, Kimura T, Fujiwara A, Kawamura T, Bessho T, Inoue M, Minami M, Okumura M
  • 学会等名: AACR annual meeting 2015
  • 発表場所: Philadelphia,United States of America
  • 年月日: 2015-04-22
  • 国際学会