研究実績の概要 |
我々はこれまで様々な癌関連バイオマーカーを包括的に評価し,個々の非小細胞肺癌患者に最適な個別化治療を臨床実用してきた.転移能が高い早期肺癌には手術後も補助化学療法を併用して進行期肺癌でも,外科的切除を含む集学的治療を積極的に行ってきた.しかし,「バイオマーカーに基づく個別化治療」を普及させるには,バイオマーカーを簡便かつ再現性のある評価法で評価し,客観的判定基準とその治療成績が不可欠である.そこで今回我々は,非小細胞肺癌におけるバイオマーカーに基づく個別化化学治療について,バイオマーカーの測定方法を更なる改良し,客観的判定基準に基づく「個別化治療選択システム」を開発し,臨床的前向き試験を行い,肺癌診療ガイドライン確立を目指す,進行期肺癌患者の治療成績向上を図る. 25,26年度には研究計画と通りに抗腫瘍剤関連バイオマーカーの検査方法を簡略化及び標準化を行い,非小細胞肺癌における癌関連バイオマーカーの包括的診断を行った。27年度,前年度の研究結果に基づき,バイオマーカー検査に基づく前向臨床試験を始まった。また,新たに経口投与バイーオマーカー関連性の検討や腫瘍細胞の体外立体培養による抗癌剤感受性実験CD-DSTを行った.これらの研究結果を国内外の学会に採用され[第116回日本外科学会(2016年4月,大阪), 24th ESTS (2016年5月, Naples, Italy) (ASCO 2016 (2016年6月, Chicago, USA) ],学会発表や論文発表に通じてバイオマーカーに基づく個別化治療が,進行期肺癌における新たの治療戦略と成りうることを積極的に発信した。
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