研究分担者 |
鈴木 健司 順天堂大学, 医学部, 教授 (10415523)
向後 泰司 国立研究開発法人理化学研究所, LSA要素技術開発グループ, 上級研究員 (20462682)
河合 純 国立研究開発法人理化学研究所, オミックス基盤研究領域, 副領域長 (30391923)
王 志明 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50306958)
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研究実績の概要 |
1)原発性肺癌における扁平上皮癌、非扁平上皮癌の鑑別マーカーの探索 遺伝子の転写開始点をゲノムワイドに同定しその活性を定量できるCap Analysis of Gene Expression(CAGE)法を用いて、当科で切除した扁平上皮癌22例と腺癌75例との間で発現の異なる遺伝子を探索した。既存の免疫染色マーカー(扁平上皮癌: CK5, CK6, p40, Desmoglein-3, 腺癌: TTF-1, NapsinA)は、CAGE法でも発現レベルに有意差が確認された。さらに既存のマーカーよりも的確に2群を分類できる新規マーカーとして、SPATS2とST6GALNAC1を同定した。SPATS2は扁平上皮癌のみに、ST6GALNAC1は腺癌のみに、腫瘍の分化度に関わらず高発現していた。CAGE法とは別の扁平上皮癌29例と腺癌45例を対象に、SPATS2とST6GALNAC1の抗体を用いて免疫染色によるValidationを行った。これらのマーカーが免疫染色(タンパクレベル)でも、CAGE法(RNAレベル)と同様に有用な鑑別マーカーであることが確認できた。 2) 原発性肺癌と転移性肺腫瘍との鑑別マーカーの探索 CAGE法を用いて、転移性肺腫瘍と原発性肺癌を区別する新規分子マーカーの解析を行っている。転移性肺腫瘍28例(原発巣:頭頚部癌3例、食道癌10例、子宮頚癌1例、乳癌5例、膵癌4例、胃癌2例、甲状腺癌1例、胆管癌1例、前立腺癌1例)と原発性肺扁平上皮癌5例との間で発現の異なる59遺伝子を同定した。現在、原発性肺腺癌5例と転移性肺腫瘍を区別する新規分子マーカーについて解析を行っている。今後さらに候補遺伝子を絞って、免疫染色によるValidationを行う予定である。
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