研究課題/領域番号 |
25462190
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
下川 秀彦 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (00566135)
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研究分担者 |
田中 文啓 産業医科大学, 医学部, 教授 (10283673)
和田 洋巳 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (30111975)
佐邊 壽孝 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40187282)
浦本 秀隆 産業医科大学, 医学部, 准教授 (90389445)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 胸部悪性腫瘍 / p-EGFR / GEP100 / Arf6 / 予後 |
研究概要 |
肺癌の死亡数は現在悪性腫瘍の中で第1位である。その理由は治療抵抗性にあると思われる。この課題に対して分子生物学や細胞生物学観点から胸部悪性腫瘍の悪性度進展の要因を明らかにすることが必要である。本研究は臨床検体を利用して分子生物学的手法を駆使し、細胞の接着と運動の制御に関するシグナル (EGFR-GEP100-Arf6 Signaling)の有益性を詳細に解明し、その臨床応用を目的とする。EGFR-GEP100-Arf6-AMAP1 Signaling は、がん細胞、特に乳癌における詳細な基礎実験にて癌の発展、とりわけ上皮間葉転換(EMT)に深く関与することが分かっている。しかし、乳腺管腔構造と近似する肺腺癌に関する知見は乏しい。我々は共同研究として北海道大学の佐邊壽孝教授よりGEP100、AMAP1 の抗体の供与を国内外で初めて得て、すでにpreliminary な実験を開始した。肺癌(腺癌)においてp-EGFR、GEP100、Arf6 の発現を癌組織(外科切片)で確認し、182 症例の検討ではp-EGFR、GEP100、Arf6 の陽性発現頻度はそれぞれ、35.7、52.2、11.0%であった。さらにp-EGFR、GEP100の間には正の相関があり(<0.001)、p-EGFR、GEP100の発現は脈管侵襲と統計学的に有意に相関があることが分かった。またp-EGFR、GEP100、Arf6の個別のマーカーが予後に与える影響はないが、例えばp-EGFR、GEP100、Arf6のすべてのマーカーが陽性であれば5年生存は57.1%であり、その他の症例 (82.4%,)と比し、明らかに不良である(p=0.011)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のとおりであるが、今後はArf6 のeffector であるAMAP1 の発現と臨床的意義を検討したい。さらに肺癌細胞株を用いてEGFR-GEP100-Arf6 signaling 分子の検証をin vitro で行う。特にEGFR 変異、K-ras 変異、EML4-ALK転座におけるSignaling が薬剤感受性、耐性や上皮間葉転換(EMT)に対する影響を検討予定である
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今後の研究の推進方策 |
肺癌細胞株を用いてEGFR-GEP100-Arf6 signaling 分子の検証をin vitro で行う。特にEGFR 変異、K-ras 変異、EML4-ALK転座におけるSignaling が薬剤感受性、耐性や上皮間葉転換(EMT)に対する影響を検討予定である。また、胸膜中皮腫に関しても肺癌と同様に検討する。腫瘍の進展形式が全く異なるので異なる結果が予想される。また当科で従来から精力的に研究している循環腫瘍細胞 (CTC)にと上記マーカーの組み合わせでバイオマーカーとしての意義を明らかにしていきたい
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