研究課題/領域番号 |
25462194
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構刀根山病院(臨床研究部) |
研究代表者 |
須崎 剛行 独立行政法人国立病院機構刀根山病院(臨床研究部), その他部局等, 研究員 (10528649)
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研究分担者 |
奥村 明之進 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40252647)
南 正人 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10240847)
澤端 章好 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50403184)
井上 匡美 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10379232)
新谷 康 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90572983)
中桐 伴行 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70528710)
舟木 壮一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50464251)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | podoplanin / 胸腺腫 / 胸腺癌 |
研究概要 |
本研究は、完全切除不能または術後再発を認めた浸潤性胸腺腫および胸腺癌などの悪性胸腺上皮性腫瘍に対する新たな集学的治療法を開発することを目的とする。新規薬剤に対する感受性について、切除標本を用いて分子病理学的に解析するとともに、さらに新たに確立された培養系を応用してin vitroで分析する。Podoplanin発現を中心としたこれらのデータに基づいて、新たな分子標的薬による治療戦略の構築を目指す。我々は、癌薬物治療が進歩し薬剤の選択肢が豊富になった中で、これまで標準化されていなかった、遠隔転移を含む完全切除不能あるいは術後再発をきたした根治不能の悪性胸腺上皮性腫瘍に対する治療法を確立することを目的としている。 我々は、第30回呼吸器外科学会にて、胸腺腫のpodoplanin発現が有意に予後と相関することを報告した。また、胸腺腫、胸腺癌のCTOS培養系についてもすすめているところであるが、まだ確立に至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
胸腺腫、胸腺癌とも、肺癌など他の固形癌と比べ、増殖能が低く、CTOS培養系の確立に難渋する要因となっていると考える。一方で、臨床検体の免疫組織学的検討においては、podoplanin発現と予後との有意な相関を得た。
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今後の研究の推進方策 |
①悪性胸腺上皮性腫瘍を用いたCancer-tissue originated spheroids(CTOS)の確立:切除標本を2mm角に細切し、酵素反応させた後、メッシュフィルターで腫瘍細胞を捕捉し、成長因子(FGF)を含んだ幹細胞培養液内で培養し、Cell Matrixを用いてDropletとして3次元培養に移行する。継代培養は、Cell Matrixから酵素処理により抽出した腫瘍上皮細胞を再び幹細胞培養液に移入させることにより可能である。腫瘍上皮細胞が純化回収されていることは、サイトケラチン抗体による免疫染色で確認する。なお、他の癌腫でCTOSの技術は確立されているが、胸腺上皮性腫瘍に対しては新たな試みであり、技術的な支援が必要な場合には開発した大阪府立成人病センター生化学部門に相談する。 ②CTOSを応用した免疫不全マウス悪性胸腺腫瘍の移植系の確立:CTOSの継代培養成功率は、大腸癌外科切除検体で62%であるので、胸腺腫を含めたやや悪性度の低い悪性胸腺上皮性腫瘍では40-50%を見込んでいる。継代培養に成功したものを、免疫不全マウスの皮下に移植し腫瘍の生着と増殖を観察する。なお、マウスの動物実験は医学部付属動物実験施設において、学内倫理審査の承認を得て行うものとする。評価項目は、生着した腫瘍の径・重量・組織学的所見とする。組織所見では、原発腫瘍の微小環境との差異を免疫染色で評価する。特に胸腺腫では、皮質型胸腺細胞の多寡をCD1陽性細胞比として定量し、移植された腫瘍のWHO分類組織診断を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
CTOS培養系の確立がなされておらず、そのあとに予定している免疫不全マウスへの移植系確立にすすめていないため 抗podoplanin抗体の購入、免疫不全マウスの購入、学会活動および論文掲載にかかる諸経費等
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