我々は悪性胸膜中皮腫(MPM)における化学療法前後での薬剤耐性、低酸素応答機構に関与するバイオマーカーの発現について解析した。当科で採取・保有しているMPM症例の術前化学療法前後の検体を用いて低酸素応答関連分子、化学療法感受性分子、癌幹細胞マーカーの定量的評価を行った。低酸素応答関連分子であるHIF-1 ,Glut-1に関しては予後との相関関係を認めなかったが、DHFR高発現症例の予後は有意に良好であった。癌幹細胞マーカーMerlinについては免疫染色スコアが34%の検体で低値であり、その予後を反映していた。以上の所見はMPM治療戦略決定に有用と考えられる。
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