研究課題/領域番号 |
25462200
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
長谷川 誠紀 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10252438)
|
研究分担者 |
近藤 展行 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50402889)
松本 成司 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60412011)
多久和 輝尚 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00412049)
橋本 昌樹 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (40461074)
黒田 鮎美 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90642570)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 悪性胸膜中皮腫 |
研究実績の概要 |
1.悪性胸膜中皮腫における遺伝子(F) の作用解明 : PI3K/mTOR 阻害剤に対して感受性が最も高いH2052 では他の細胞株と比較して遺伝子(F)のmRNA著明に発現が低下していた。また、western blot において(F)の発現は認められなかった.そのため、遺伝子(F)のPI3K/Akt/mTORシグナル伝達経路に対する作用を検討した。遺伝子(F)wild type である211H, H28 では遺伝子(F)を失活させるとWestern blot でmTORリン酸化の増強が確認された。遺伝子(F)が失活しているH2052 ではmTORリン酸化の増強は認められなかった。
2.PI3K/Akt/mTORシグナル伝達経路と中皮腫手術の予後の関連性 : PI3K/Akt/mTORシグナル伝達経路の活性と集学的治療の予後との関連性を評価するため、切除標本を用いて免疫染色を行った。phospho-S6RP陽性患者群が陰性群と比較し有意に予後が良好であった(14.4 ヶ月 対 43.6 ヶ月,P=0.03)。また、 phospho-mTOR陽性患者群が陰性群と比較し予後が良好な傾向にあった (14.4 ヶ月 対 37.1 ヶ月,P=0.08)。
3動物実験 : マウスの皮下に悪性胸膜中皮腫細胞株を接種し、皮下腫瘍を形成させた動物モデルを用いて、PI3K/mTOR阻害剤の抗腫瘍効果を検討した。遺伝子(F)欠損 である悪性中皮腫細胞株 の皮下腫瘍はPI3K/mTOR阻害剤投与により未治療群と比較し有意に皮下腫瘍の増殖抑制を認めた。しかし遺伝子(F)wild type である悪性中皮腫細胞株 の皮下腫瘍はPI3K/mTOR阻害剤投与により皮下腫瘍の増殖抑制を認めなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度までの実験で遺伝子(F)wild type である悪性胸膜中皮腫細胞株の皮下腫瘍においてPI3K/mTOR阻害剤の抗腫瘍効果が認められない結果を、別の遺伝子(F)wild type である悪性胸膜中皮腫細胞株での再検を試みているが、皮下腫瘍形成率が低く難渋している。 また、実験助手が出産前および出産後の休暇、および出産後の休暇育児休暇を取得した。担当していた実験を他の研究助手で補う様に努力したが、完全には補いきれず、実験が当社の計画より遅延した。
|
今後の研究の推進方策 |
別の遺伝子(F)wild type である悪性胸膜中皮腫細胞株での、皮下腫瘍形成率が改善されないようであれば、現時点でのデータをまとめ、論文作成、投稿を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実験助手が出産前および出産後の休暇、および出産後の休暇育児休暇を取得した。担当していた実験を他の研究助手で補う様に努力したが、完全には補いきれず、実験が当社の計画より遅延したため、予算を繰り越すとともに、期間延長を申請し、受理されたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
前年度までの実験で遺伝子(F)wild type である悪性胸膜中皮腫細胞株の皮下腫瘍においてPI3K/mTOR阻害剤の抗腫瘍効果が認められない結果を、別の遺伝子(F)wild type である悪性胸膜中皮腫細胞株での再検を試みる
|