我々は悪性胸膜中皮腫細胞株に対するmTOR 阻害剤の抗腫瘍効果を確認出来た。耐性化の対策としてmTORとその上流のPI3K を阻害するPI3K/mTOR 阻害剤に着目した。PI3K/mTOR 阻害剤に対して感受性が最も高いH2052 では他の細胞株と比較して遺伝子(F)の発現が低下していた。wild type である細胞株で遺伝子(F)を失活させるとmTORリン酸化の増強が確認された。手術検体の免疫染色においては多変量解析でp-mTOR が治療ターゲットになる可能性を示唆した。遺伝子(F)欠損の中皮腫細胞株はPI3K/mTOR阻害剤投与により未治療群と比較し有意に皮下腫瘍の増殖抑制を認めた。
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