研究課題
前年度までに判明した、表現促進現象を有するもやもや病親子例で特異的なCNV領域(16番染色体上の410kbpの範囲(chr16:1026093-1419291)について、今年度さらに詳細に検討した。今回検討に用いたマイクロアレイでは、もやもや病感受性遺伝子RNF213をコードするDNA配列内にCNV probeが含まれていないが、少なくともRNF213遺伝子を含む17番染色体の既報の感受性遺伝子座(17q25.3や、17q25-ter)には、特異的なCNVは検出されなかった。当該CNV領域に含まれる既知の遺伝子配列は、NCBI (National Center for Biotechnology Information)などを利用して精査した結果、14遺伝子であった。含まれる遺伝子には、血管平滑筋機能に関わる電位依存性カルシウムチャンネルのサブユニットをコードする遺伝子(CACNA1H)も含まれていた。これらの遺伝子機能そのものがもやもや病に関連しなくても、CNVそのものの遺伝子構造多型が近接する遺伝子機能に影響を及ぼして、もやもや病の発病素因に関わっている可能性もあるため、遺伝子機能自体や関わるパスウェイは考慮せず、この範囲のDNA配列の中の、どの部分のコピー数が変異しているのか、対象のもやもや病患者と、脳血管疾患をふくめた神経疾患罹病歴・家族歴のない健常対照者のゲノムDNAを用いて、本領域のDNA配列のシーケンス解析(アンプリコンシーケンス)を実施した。結果の詳細は研究成果報告書(F-19)にて報告するが、マイクロアレイの結果がシーケンス解析によりさらに詳細に確認された。
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