高難度の脳神経外科開頭手術の術前評価として行ってきた高解像度の頭部 MRI や造影 CTなどのDICOM データから作成した、三次元STLデータ及びそこから再構築したCADデータが蓄積され、ライブラリーとして使用できる状態となっている。最終年度である平成27年度には、各症例の患側データは疾病モデルとして、健側データは正常モデルとして使用した。様々な部位や疾病ごとの局所解剖・手術画像を作成した。 具体的には、テント上腫瘍は神経膠腫、頭蓋底髄膜腫が多く、テント下腫瘍モデルはほぼ全例で行っており、前庭神経鞘腫、三叉神経鞘腫、頸静脈孔腫瘍、錐体骨髄膜腫が揃った。機能外科では三叉神経痛・顔面けいれんモデルが両側とも揃っている。脊髄腫瘍モデル、下垂体腫瘍モデルは多数ではないがtraining可能な数はある。 修練医や高難度手術の初心者のみの術前準備のみならず、希少症例の術前確認に使用している。また、各症例のmass studyに置いても、解剖学的な側面からのデータ集積の一助になるものと思われる。遺体を使用した解剖セミナーにおいても、各個人が体験習得できる内容を拡大させるために種々の手術アプローチを段階毎のモデルを作成し、実際の解剖体と照合しながら解剖を進めるという画期的な学習法を確立した。 今後はこのライブラリーを如何に多くの脳外科医が利用し、手術手技の習得にライブラリーが寄与できるかが重要と思われる。関連施設とのネットワーク構築などシステム整備が今後の課題である。
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