研究課題/領域番号 |
25462213
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
地藤 純哉 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (50534161)
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研究分担者 |
野崎 和彦 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90252452)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | fractional anisotropy / aging change / 7TMRI / diffusion tensor / diffusion weighted image / myelin |
研究概要 |
水分子の異方性拡散の定量的指標であるfractional anisotropy (FA)値は、白質障害の程度を反映すると言われている。7T-MRIを利用しDiffusion Tensor Imagingにて、このFA値を測定することで白質における加齢(成長)変化および変性をin vivoで定量的に評価することを試みた。また併せてその病理学的変化も解析する。 生後10週令以降のSD ratを対象とし、白質線維に富む脳梁部分のFA値の変化を経時的に追跡した。測定に当たりラット専用のコイルの作成、撮影条件の適正化を行う必要があった。multi shot spinecho type EPI (呼吸gaiting追加検討中) にてb value; 700-1200 sec/mm2 scan matrix; 256 x 128 phase stepで試行しておりparameterの最適化も行っている。現在、生後12、14、16、18、22週の各±1週のrat脳梁に対しTR:1700 /TE:38 /averaging:6 35 mm field of view, 1.0 mm slice thickness,b value; 812 sec/mm2の条件でで行った平均FA値測定結果は各週3匹ではあるが、10週±1週(FA値:0.531)、12週±1週(FA値:0.542)、14週±1週(FA値:0.570)、16週±1週(FA値:0.568)、18週±1週(FA値:0.581)、22週±1週(FA値:0.560)と上昇傾向を示した。現在測定数が少数のデーターであるため有意検定は実施できていないが、FA値変化にはミエリン量変化が有意に関与しているというこれまで我々が報告した事実から推察すると白質のミエリンが成長、加齢にともない増加傾向を示していることを示唆していると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
7TMRIのシステムの入れ替え工事が行われたため約2ヶ月以上にわたり実施的な測定が行えず、実験が予定通り進まなかった。また撮像条件の適正化に関しても、システムのアップグレートに伴い測定再開時に再度微調整が必要となっており現在実施している。FA測定は遅延はしているが、ratの麻酔手技および撮像手法に関して習熟しつつあり、今後も安定した測定ができると期待され、FA測定に関しては初年度の目標を概ね達成している。組織検討については3年間のい実験期間を通じて生後24、36、48、60 、72 、84 、98 週後の個体を灌流固定し免疫染色を行う予定ろしているが、ratを長期に生存させたうえでFA値を測定する必要があるため、実験開始初期段階で購入したratをできるだけ長期飼育する必要があり、現在組織の固定摘出はできていない。
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今後の研究の推進方策 |
FA値測定を継続し、初年度の結果と併せてFA値が変動することで、加齢による影響が捉えられると考えられる時期があれば、灌流固定の時期を変更する。大きな変動を見ない場合は、当初の予定より若干遅延するが生後60週後までの組織学的検索を行う予定とする。FA値測定に関しては一匹の撮像に約3時間を要すため、効率的に進める工夫として生後週数をずらしたrat を計画的に搬入し、通年で最大2-3 匹/回のMRI 撮影にとどめる。これにより同時期に撮影が重なることを防ぎ時組織学的検索に必要な手技に伴う時間的余裕を生み出す。 データ確保の目標としては4週ごとの撮影匹数が各々の生後週で実験終了時には最終的に総合計10 匹となることを目標とし、組織検索用の灌流固定も最終的に各期間×5匹を目標とするため、本年度は撮像、組織ともに観察期間早期の週数に関しては6匹を、晩期に関しては3匹分のデータを目標とし、27年度の実験終了時に総数目標を達成できるように分割して行う。 中間データを学会等に精力的に発表し実験データの有用性の確認、欠如部分 について追加考察する。2014年脳神経外科学会総会・2015CI学会にて報告を行う準備中である。
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