研究課題
九州大学歯学研究院から供与を受けたTRPV4ノックアウトマウスを九州大学コラボステーションⅠのSPF実験室に搬入。8週齢から10週齢の♂マウスを対象に糸上げ法による中大脳動脈閉塞モデルを作成した。具体的なモデル作成は麻酔下にDoccol社製のsutureを総頸動脈から挿入し、OMEGAWAVE社製レーザードップラ血流計を用いて中大脳動脈の閉塞を確認し、30分から60分後にSutureを抜去し中大脳動脈を再開通させた。手術中は体温保持装置で体温を37℃に保ち、麻酔はイソフルラン1.5~2.0%、O2 30%混合麻酔気を用いた。脳梗塞モデル作成後は48時間後に安楽死処置を行った後に脳を取出してTTC染色を行い、梗塞体積を評価した。梗塞体積の評価にはImageJを用い、嗅球から2mm、4mm、6mmの断面における梗塞範囲をそれぞれ測定した。閉塞時間60分間のモデルでは、TRPV4ノックアウトマウスと野生型マウスにおいてTTC染色における梗塞範囲に明らかな差は認められなかった。30分間閉塞モデル、45分間閉塞モデルではTRPV4ノックアウトマウスの方が野生型マウスと比較してやや梗塞体積が小さくなる傾向がみられたものの、各群で統計解析を行うまでの匹数には至らなかった。今後、匹数を増やしての検討を行うとともに、アストロサイトの培養系ないしアストロサイトとニューロンの共培養系を用いて、低酸素下における生存率などに関してTRPV4ノックアウトマウス由来細胞と野生型マウス由来細胞での比較を行い、急性期脳梗塞におけるTRPV4の機能の解明を進めていく。