研究実績の概要 |
これまでの研究により、ラット脳梗塞モデルに対する骨髄間葉系幹細胞移植は移植細胞数により差があることを示した。すなわち、行動学的評価ではmodified neurological severity scoreで低用量(1万個)が有意に回復が早いこと、体重の増加は変化がないことを示した。また移植細胞による抗炎症効果を検討したところ、低用量、高用量(100万個)ではともにIba-1(マイクログリアのマーカー), ED-1(活性化マイクログリアのマーカー)の抑制を認めた。しかしながら両群での差は認めなかった。Luminex Assayによる炎症性サイトカイン、ケモカインの定量では、IL-1beta, IL-12p70 はコントロールと比較して 有意にその発現が抑制されていた。IL-1b (コントロール: 327.1 ± 21.6 pg/ml; 低用量: 211.0±21.4 pg/ml; 高用量: 237.8±34.6 pg/ml)。IL-12p70 (コントロール: 53.3±8.9 pg/ml; 低用量:30.3 ± 6.4 pg/ml; 高用量: 32.3 ±1.2 pg/ml)。 本年度は移植細胞の低用量、高用量におけるadverse effect、特に移植後の致死率や血管内での塞栓合併症につき組織学的に検証した。あらかじめPKHでラベリングした移植細胞を血管内皮(RECA-1陽性細胞)との関連性につき検討すると、高用量群において有意に移植細胞のaggregation が確認された (高用量: 0.21 ± 0.1/mm2;低用量: 0.003 ± 0.003/mm2)。Mortalityについてはコントロール33.3%, 低用量群27.3%, 高用量群38.5%であり、高用量群における塞栓合併症の影響が危惧された。
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