FAP-GFPマウスのアストロサイトの形態は、2光子顕微鏡により鮮明に観察され、MCA perforation modelによるくも膜下出血や塞栓子による中大脳動脈閉塞モデルでは、GFPの蛍光は消退した。中大脳動脈閉塞後の再灌流により蛍光強度は再上昇し可逆性のある変化と考えられた。この両モデルでの障害中の血流低下は著明で、くも膜下出血直後には20%以下に低下していることが、line scan法で観察された。毛細血管内line scan法による血球染色後の観察において、白血球のローリングと接着をとらえ、白血球の毛細血管内接着時には同血管の全血球の流れが停止することがわかった。くも膜下出血時、超急性期の脳損傷の原因として、白血球による脳全域の毛細血管血流低下の意義が示唆された。くも膜下出血直後は、いったんは細動脈拡張を認めるものの、その後は脳血流が低下しているにもかかわらず、血管拡張反応は消失し、脳血流低下の状態が継続した。中大脳動脈閉塞モデルでも、脳表血管血流が維持されているにもかかわらず、脳内細動脈と毛細血管血流の著明な低下を認め、血流がほぼ消失するところでは虚血時の細動脈拡張はすでに観察されなかった。内頚動脈閉塞モデルにおいて、アストロサイト内のCa濃度上昇も観察され、傷害の程度、虚血の程度とCa濃度との関連性とその機能についての解析が今後の課題のひとつである。
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