研究課題
脳虚血後に脳内に移植したヒト骨髄間葉系幹細胞(hMSCs)は神経細胞死抑制作用を持つことを報告してきた。その作用機序を明らかにする目的として移植されたドナーであるhMSCsがどのようにレシピエント組織と相互作用しているのかを調べた。昨年度までに脳内を模倣したex vivoの環境とin vivoに移植したhMSCsが種々のケモカインを産生することを見出した。本年度は,in vitroにおいてヒト骨髄間葉系幹細胞(hMSCs)がどのような刺激によりケモカインCCL2を発現しているかを調べた。前脳虚血は主に終脳領域が脳虚血となるが主に神経細胞死を誘導するのは海馬領域である。このことを利用し,脳虚血後に同一の動物より虚血かつ細胞死を惹起する海馬,虚血にはなるが細胞死を惹起しにくい大脳皮質およびほとんど虚血状態にならない小脳のホモジネートを作成しhMSCsに暴露した。その結果,虚血したマウスより取り出した脳ホモジネートを暴露したhMSCsは虚血していない脳ホモジネートを暴露したマウスと比較し,海馬のホモジネートを暴露した時にのみCCL2産生増大をきたすことが明らかとなった。さらに,虚血に関わる炎症性サイトカインを培地に加えたところIL-1betaとTNFalphaがhMSCsよりCCL2の産生増大をきたした。加えて,IL-1alpha/betaとTNFalphaの遺伝子欠損マウスで同様の研究を行った結果,hMSCsのCCL2産生が抑制された。この結果は脳内に移植したhMSCsは虚血再灌流刺激により産生増大する炎症性サイトカインにより誘導し応答をすることが明らかとなった。
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巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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