研究課題/領域番号 |
25462242
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 幸成 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00571811)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | イソクエン酸デヒドロゲナーゼ / IDH1/2 / glioma / multi-specific mAb / モノクローナル抗体 / MsMab-1 / 診断マーカー / 免疫組織染色 |
研究概要 |
イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1/2(IDH1/2)は、low grade gliomaにおいて高頻度に変異が生じ、α-ケトグルタル酸をoncometaboliteの2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG)に変換する。一方、野生型IDH1/2と比べ、変異型IDH1/2を保持するgliomaの予後は格段に良い。本研究において、すべての変異型IDH1/2に対する特異的モノクローナル抗体(multi-specific mAb)を樹立し、gliomaの臨床診断に応用することを目的とした。 まず、IDH1-R132Gの合成ペプチドをBalb/cマウスに免疫し、常法によりハイブリドーマの作製、ELISA法による選択を行った。さらにウェスタンブロット法、免疫組織染色法にて、樹立した抗体の評価を行った。 最初のスクリーニングにおいて、IDH1-R132Gに反応し、野生型IDH1に反応しない複数のクローンを樹立した。次に、複数の変異型IDH1/2に対するELISAを実施したところ、MsMab-1抗体は、複数の変異型IDH1/2に交差反応性を示すことがわかった。ウェスタンブロット法により、IDH1-R132H、IDH1-R132S、IDH1-R132G, IDH2-R172Mのリコンビナントタンパク質に対する反応性が見られた。さらに、免疫組織染色において、MsMab-1抗体はIDH1-R132H、IDH1-R132S、IDH1-R132G陽性のgliomaに対して高い反応性を示した。以上のことから、MsMab-1抗体は、変異型IDH1/2陽性のgliomaの診断マーカーとして有用であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究においては、すべての変異型IDH1/2に対する特異的モノクローナル抗体(multi-specific mAb)を樹立し、gliomaの臨床診断に応用することを目的としているが、初年度から、multi-specific mAbであるMsMab-1抗体の樹立に成功した。変異型IDH1/2に対するmono-specific mAbについては、これまで我々が複数樹立しているが、変異型IDH1/2に対するmulti-specific mAbについては、世界で初めての樹立となる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度樹立した、変異型IDH1/2に対するmulti-specific mAbであるMsMab-1抗体は、IDH1-R132H、IDH1-R132S、IDH1-R132G, IDH2-R172Mなどの一部の変異型IDH1/2しか認識できない。すべての変異型IDH1/2を診断するためには、さらにmulti-specific mAbを樹立する必要がある。今後、新たなmulti-specific mAbを樹立することを目標とする。さらに、本年度樹立したMsMab-1抗体の臨床応用を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 平成26年度請求額と合わせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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