研究課題
イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)1/2は、low grade gliomaにおいて高頻度に変異が生じ、α-ケトグルタル酸を2-ヒドロキシグルタル酸(D2-HG)に変換する。一方、野生型IDH1/2と比べ、変異型IDH1/2を保持するgliomaの予後は格段に良いため、予後診断マーカーとして注目されている。これまで、変異型IDH1/2を検出する手段としては遺伝子検査が主であるが、本研究ではモノクローナル抗体による診断法の確立を目指している。昨年度までに、複数の変異型IDH1/2に交差反応性を示し、野生型IDH1/2には反応しないマウスモノクローナル抗体のMsMab-1抗体の樹立に成功した。また、我々はこれまで、gliomaで検出されるIDH変異の中で最も多いIDH1-R132Hに対する新規モノクローナル抗体を2クローン作製しているが、特異性は高いものの、感度が足りないことが問題となっていた。そこで、今年度はさらに感度の高い抗IDH1-R132H抗体の作製を試みた。樹立した新規抗IDH1-R132H抗体(クローン:HMab-2)は、以前に開発したクローンHMab-1と比べ、免疫組織染色法やウェスタンブロット法において、10倍以上の感度であった。HMab-1を使った免疫組織染色法では、1次抗体の反応時間が18時間程度だったのに対し、HMab-2では1時間に短縮でき、病理診断において格段に有用性が上がった。変異型IDHに対する阻害剤の開発が進んでおり、HMab-2がその診断薬として利用できるように、さらに開発を進めて行く予定である。
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