研究課題
脳卒中による片麻痺を代表とした脳機能障害からの回復には、脳の可塑性に基づく脳機能再構築が極めて重要な役割を担っている。その再構築のメカニズムが解明できれば、画期的な治療法の開発が可能となり、脳機能障害に苦しむ多くの患者にとっての恩恵は計り知れない。本研究は、脳機能再構築に関わる多くの知見を捉えた研究代表者が、世界トップレベルの脳機能画像および脳電気生理学的研究チーム・施設を駆使して、脳腫瘍に伴って緩徐に起こり、手術によって急激に変化する脳機能再構築のメカニズムの解明に迫り、再構築に基づく、脳腫瘍の新しい治療法を考案することを目的とする画期的な臨床神経科学研究の提示である。初年度は、本研究で用いる機能的MRI(fMRI)、近赤外線分光法(NIRS)、経頭蓋磁気刺激(TMS)についての倫理委員会承認を確認した上で、それらを用いたプロトコールの最適化を行った。その最適化プロトコールの正当性を検証する一環として健常人にて、脳腫瘍患者における脳機能再構築の機序を解明するための基礎研究を行った。すなわち、健常人を対象とし、片側肢の急性求心路遮断モデル(虚血神経ブロック)を用いて、対側手運動の皮質神経基盤に生じる変化をfMRIによって検討する研究を行った。その結果、対側手随意運動を遂行する神経基盤に急性かつ可逆性の変化がもたらされることが明らかになった。これらの急性変化は、シナプス造成による新しい神経ネットワークの構築によるものではなく、通常は抑制されている潜在的ネットワークの脱抑制機序によるとされるが推測された。健常人を対象とした検討と平行して、脳腫瘍患者についての検討も開始した。
2: おおむね順調に進展している
機能的MRI(fMRI)、近赤外線分光法(NIRS)、経頭蓋磁気刺激(TMS)についての倫理委員会承認を確認した上で、それらを用いたプロトコールの最適化を行った。健常人におけるプロトコールの実践の一環として、脳腫瘍患者における脳機能再構築の機序の解明の一助となる研究を施行し、完了した。更には、TMSを用いた別の研究にも着手した。また脳腫瘍患者の術前評価も開始した。以上より、当初の予定通りにおおむね順調に進展している。
当初の計画通りに、初年度と同様に研究を遂行する。すなわち、既に開始している脳腫瘍患者における術前評価を継続し、更には、術後の評価も開始する。また既に着手している健常人を用いた新たな研究を継続し、脳腫瘍患者に脳機能再構築の機序の解明に向けて更に前進する予定である。
本年度の研究に要した物品費は予定より少なく、本研究に特化した資料収集等の目的の国内・海外調査旅費も少額に収まった。また健常人を対象とした研究には、ボランティアの協力が得られたため、謝金等が不要となった。学会参加費等のその他の経費も予定より少なかった。次年度に、資料収集や研究成果の発表等の目的での国内・海外旅費が多くなる見込みであり、物品費も増えることが予想されている。本年度に結果的に節約できた研究費は、次年度以降に予定額より増加が見込まれる旅費、物品費、謝金等に使用する予定である。
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