研究課題
浸潤性悪性グリオーマ動物モデルを用いて、「血管新生-浸潤シフト」の原因となる血管新生非依存性浸潤規定遺伝子の候補として、細胞骨格に関与すると考えられるfibroblast growth factor13(FGF13)を同定した。J3Tモデルおよび複数のヒトグリオーマ細胞株(U87ΔEGFR、U373、A172)におけるFGF13の発現量を比較した。FGF13はJ3T-2においてJ3T-1の約14倍高く発現していた。FGF13には2種類のtranscript variantが存在し、グリオーマでは特に細胞質に発現するvariant(FGF13B)が高発現していることを確認した。また、正常astrocyteでのFGF13B発現レベルは低く、グリオーマ細胞に特異的に発現していると考えられた。さらに、FGF13をoverexpressionもしくはknockdownすることでin vitroで浸潤能の変化を評価した。J3T-2および、normal human astrocyteよりFGF13の発現が高いU87ΔEGFR、U373細胞株では、siRNAを用いてknockdownすることで有意に浸潤能の低下を認めた。一方、FGF13の発現の低いA172細胞株でoverexpressionすると浸潤能が上昇する傾向があった。免疫染色により細胞株およびヒトグリオーマ組織におけるFGF13と細胞骨格との関連を評価した。FGF13は腫瘍細胞の核および細胞質に発現しており、細胞質では特に細胞骨格との共局在が確認された。以上より、FGF13は細胞質におけるチューブリン重合を介してグリオーマ細胞の浸潤を制御していると考えられ、グリオーマの血管新生-浸潤シフトに関与する可能性が示唆された。FGF13Bに対する治療は、グリオーマ細胞特異性が高く、新たな治療候補となる可能性が高いと想定される。
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