研究課題
VEGF阻害剤投与後の画像変化として、Response Assessment in Neuro-Oncology(RANO)基準でFLAIRでの病変範囲が増大した場合をprogressive disease(PD)と判定するが、これを新たにFLAIR only PDと定義すると、FLAIR only PDは予後と無関係であることを確認した。さらに、VEGF阻害剤投与時の合併症としての虚血性合併症、出血性合併症を検討し、癌治療時のTrousseau症候群と比較検討して報告した。また、bevacizumab投与時の危険因子対策、臓器機能の低下や脳小血管病の合併時の対策と回避方法について検討して報告した。頭蓋内悪性リンパ腫(PCNSL)と他の疾患の鑑別点を検討し、これまでのわれわれの報告の高いb値のDWIの有用性を再検討した。さらに、Single voxel proton MR spectroscopy(1HMRS)について検討し、lipidsの発現がPCNSLで特徴的であることを見いだした。さらに、homogenousに造影されるグリオーマでは、lipidsのピークが検出されないか、検出されてもわずかであることを見いだし、これらの所見が治療方針を決定する上での鑑別診断に有用であることを示した。小児の胎児性腫瘍における放射線治療の影響を詳細に検討し、当院において放射線治療後に再発なく生存をしているのは31 例中19例であるが、これら胎児性腫瘍の長期生存患者のうち、脳海綿状血管腫が出現したのは19 例中12 例であった。脳海綿状血管腫が出現するまでの期間は、放射線開始後26.0-274.9 カ月(中央値82.3 カ月) で、症候性となった患者は3 例認められ、T2 star とSWI は脳海綿状血管腫の診断に有用であることを示した。
2: おおむね順調に進展している
画像データは予定通り取得している。悪性神経膠腫に対するVEGF阻害剤の治療前後の画像解析を予定通り行っている。また、転移性脳腫瘍に対するVEGF阻害剤投与時の検討も予定通り行っている。
引き続き、VEGF阻害剤の画像所見を検討する。これまでと同様にデータを取得する。データが集積されたら、統計学的に解析する。以下がデータ取得の方針である。diffusion-weighted imaging (DWI, b値 1,000 sec/mm2および4,000 sec/mm2)、拡散tensor画像、MR spectroscopy(single voxel またはchemical shift imaging)、arterial spin labeling (ASL) によるperfusion-weighted imaging (PWI)、T2 star画像とsusceptibility-weighted imaging (SWI)、conventional MRI (T1 axial, T2 axial, ガドリニウム造影後T1 axial, ガドリニウム造影後FLAIR画像)を撮像する。(2) T1値、T2値、造影率(造影剤投与前後のT1値の変化)、ADC値、FA値、血流量、MR spectroscopyのパラメーターの変化、micro-hemorrhageとmicrobleedsを測定する。(3) 腫瘍の大きさの変化、臨床経過、副作用の検討を行う。化学療法の効果はRECIST基準、MacDonald基準、RANO基準、advanced MR imagingによる所見の変化を併用する。データを統計的に解析する。Conventional MRで得られるT1/T2値の変化、造影率の変化、腫瘍サイズの変化、さらにadvanced MR imagingの各パラメーターを統計学的に検討して、VEGF阻害剤投与時の画像診断法を検討する。
当初予定した解析機器の購入が予定より遅れたため。データ解析の機械購入、ソフトウエア購入に使用する予定です。
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