研究課題/領域番号 |
25462264
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
溝渕 佳史 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80547993)
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研究分担者 |
牟礼 英生 徳島大学, 大学病院, 助教 (00624355)
永廣 信治 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60145315)
影治 照喜 徳島大学, 大学病院, 特任教授 (70294684)
桑山 一行 徳島大学, 大学病院, 講師 (50614236)
原 慶次郎 徳島大学, 大学病院, 助教 (60710340)
中島 公平 徳島大学, 大学病院, 特任助教 (40710554)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 悪性脳腫瘍 / Ad-REIC / Wntシグナル |
研究概要 |
Wnt は分泌型のglycoproteinであり、胚形成や皮質の発達に重要な役割を果たす。7回膜貫通型のG-protein 受容体に結合し、いくつかの異なったシグナル伝達経路に作用することが、他の細胞系で報告されており、β-catenin 依存性と非依存性経路があることが知られている。Wntシグナル上流でのタンパクの相互作用やこの経路の活性化の分子機構についての詳細はグリオーマ細胞では検討されていない。またこれらのタンパク制御が抗腫瘍効果に寄与するかどうか明らかでない。1.グリオブラストーマ(GBM)においてWnt signal阻害作用が期待されるREIC/Dkk-3(Dkk-3)のアデノウイルスベクター(Ad-REIC)を用いて遺伝子導入することにより、細胞増殖抑制作用を調べ、Dkk-3の発現増加に伴い細胞増殖抑制作用が認められることを明らかにした。2.この細胞増殖抑制作用の機序を調べるために、Wnt signal上流で作用すると考えられるタンパクWnt3a, Wnt5a および これらの受容体であるLRP6, ROR2とDkk-3の関連を解析した。Wnt signal活性化には2つの経路が考えられており、β-catenin依存性経路ではWnt3aタンパクが受容体LRP5/6に結合し、非依存性経路ではWnt5aが受容体ROR2に結合してWntシグナルが活性化されると一般的に考えられている。しかし、GBM細胞では、Wnt 蛋白Wnt3a, Wnt5aは両受容体LRP6 およびROR2に非特異的に結合をしていることを新たにみいだした。またAd-REICにより増加したDKK3蛋白がWnt3aとLRP5/6およびWnt5aとROR2の相互作用を特異的に阻害することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画(Ad-REICを用いて遺伝子導入し、REIC/Dkk-3による制御機構を解明、Wnt signal活性化の状態を明らかにする。Ad-REICによる分子制御を明らかにする。b-cateni, RhoA, Rac発現量を調べる。タンパク発現およびmRNAレベルを解析する。Wntタンパクおよび各受容体の相互作用を解析する。動物モデルを用いて生体内でのAd-REIC分子機構が細胞系での結果を反映するかどうか明らかにする。U87MG細胞のxenograftモデルを用いてAD-REICの抗腫瘍効果を調べる。Wntシグナル制御がin vivoでも抗腫瘍効果に寄与するかどうか評価する)はほぼ達成できているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後これらのタンパク制御による下流分子への影響を調べ、GBMにおけるWnt signal活性化の状態およびAd-REICによるこれらの分子がどのように制御されるかと活性化抑制の意義を明らかにする予定で、動物モデルや抗腫瘍薬を用いて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究は計画通りに遂行したが、少額の物品費残額が生じたため、次年度の消耗品購入費として使用したい。 免疫染色用の試薬・抗体の購入
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