研究課題
Wnt は分泌型のglycoproteinであり、胚形成や皮質の発達に重要な役割を果たす。7回膜貫通型のG-protein 受容体に結合し、いくつかの異なったシグナル伝達経路に作用することが、他の細胞系で報告されており、β-catenin 依存性と非依存性経路があることが知られている。β-catenin 依存性経路ではWnt3aタンパクが受容体LRP5/6に結合し、非依存性経路ではWnt5aが受容体ROR2に結合してWntシグナルが活性化されると考えられている。しかし、このWntシグナル上流でのタンパクの相互作用やこの経路の活性化の分子機構についての詳細はグリオーマ細胞では検討されていない。またこれらのタンパク制御が抗腫瘍効果に寄与するかどうか明らかでない。申請者はこれまでに悪性脳腫瘍症例においてWnt signal阻害物質であるREIC/Dkk-3の発現が遺伝子レベルから腫瘍の悪性度に応じて低下しており、REIC/Dkk-3の低下が脳腫瘍の増殖に関係していることを見出している(Neuro Oncol. 2008)。また、グリオーマ細胞にplasmidを用いて REIC/Dkk-3(以下DKK-3と略す) を遺伝子導入し、DKK-3蛋白を過剰発現させた細胞では、ミトコンドリアを介したアポトーシスが誘導されることを明らかにし、脳腫瘍におけるβ-catenin を介したWnt シグナルの重要性を証明した。さらに、予備実験から、剖検例の正常脳および脳腫瘍周囲の正常部位ではWnt受容体LRP6の発現は低いが、脳腫瘍の悪性度が高くなるに従い、LRP6の発現は増加し、grade IVのGBMではLRP6が強発現していることを見出している。GBM細胞を移植したxenograftモデルでは体重には影響がない用量で control vector (Ad-LacZ)と較べてAd- DKK-3による抗腫瘍効果が認められており、ミトコンドリアを介した
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