研究課題/領域番号 |
25462266
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
大西 丘倫 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70233210)
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研究分担者 |
大上 史朗 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (70213626)
高野 昌平 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (70467851)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | グリオーマ / 腫瘍幹細胞 / microRNA / 腫瘍発生 / 腫瘍浸潤 |
研究概要 |
ヒト神経膠腫の摘出組織の初代培養により、6種類のグリオーマ幹細胞(GIC)を樹立した。これらの細胞からRNAを抽出し、マイクロアレイにより網羅的にmicroRNA (miRNA)のプロファイリングを行った。これらの中で、正常ヒト神経幹細胞と比べ、有意に発現上昇、或いは発現低下のあるmiRNAの検索を行ったところ、7種のmiRNAが同定され、その中で、miRNA-340はこれまで報告のない新規の発現低下したmiRNAであることを発見した。miRNA-340のGICにおける役割を明らかにするため、レンチウイルスを用いて、miRNA-340をGICに強制発現させ、細胞の増殖、運動能、浸潤能、ならびにNOD/SCIDマウス脳内での腫瘍形成能について調べた。miRNA-340強発現させたGICは、細胞増殖の低下、運動能・浸潤能の抑制、マウス脳内での腫瘍形成の抑制をきたした。次に、miRNA-340の標的遺伝子を同定するため、miRNA-340強発現GICにおける遺伝子発現のプロファイリングを行ったところ、plasminogen activator, tissue (PLAT)が直接の標的遺伝子であることを発見した。PLATのshRNAによる抑制実験では、miRNA-340強制発現の時と同様に、細胞増殖の低下、運動能・浸潤能の抑制がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトグリオーマ幹細胞から、新規のmicroRNA-340を同定することができた。その性状解析により、microRNA-340がgene supressorとして機能していることを明らかにした。また、microRNA-340の標的遺伝子として、新規のPLAPを同定した。以上の結果は当初の計画通り得られたものである。
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今後の研究の推進方策 |
①microRNA-340の腫瘍形成における詳細なメカニズムを明らかにする。②PLAPのほかにもmicroRNA-340の制御下にある遺伝子群が確認できており、これらの遺伝子群による腫瘍幹細胞の悪性形質獲得に関するメカニズムを解析する。③グリオーマ細胞よりエクソゾームを分離し、グリオーマ幹細胞に特有のmicroRNAを同定し、腫瘍診断マーカーへの応用の可能性について検討する。
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