研究課題
本研究では悪性脳腫瘍において亢進している代謝経路に着目し、関連分子の発現および機能を解析することで、治療抵抗性である悪性脳腫瘍に対して有効な新規治療法の開発を目的にしている。脳原発悪性リンパ腫は、腫瘍細胞が脳深部に浸潤することで広範囲に脳を障害し、高度の認知障害等を生じる悪性脳腫瘍である。カテプシンSは、細胞内リソソームに局在するシステインプロテアーゼの一つであり、近年グリオーマ細胞の脳内浸潤や乳がんの脳転移に関与するとの報告がある。今回我々は、中枢神経系リンパ腫組織において、カテプシンSの発現を解析した。中枢神経系リンパ腫では脳原発および二次性の脳内浸潤例共に、カテプシンSは高発現していた。組織中の局在として、特に血管周囲に集蔟した細胞に強い発現があったことは、リンパ腫の血管周囲腔を介した脳内への浸潤に関与する可能性が示唆された。この結果は、日本脳腫瘍病理学会にて発表した。脳原発悪性リンパ腫に対しては、大量メソトレキセート療法と放射線照射の併用が標準的治療法として行われている。我々もこれまで行ってきた治療成績を解析し、転帰に関与する因子を検討した。その結果、化学療法を完遂できた症例の予後が良好であった。この結果は、日本脳神経外科学会学術総会にて報告した。また解析結果は、論文にもまとめて報告した(Makino et. al. International journal of clinical oncology 20, 2015)化学療法抵抗性には、代謝の亢進等リンパ腫細胞の生物学的特徴が関与している可能性が高く、蛋白発現および遺伝子発現解析を進めている。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)
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