研究課題/領域番号 |
25462270
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
矢野 茂敏 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 准教授 (60332871)
|
研究分担者 |
倉津 純一 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (20145296)
中村 英夫 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (30359963)
秀 拓一郎 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40421820)
牧野 敬史 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (90381011)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 悪性髄膜腫 / マイクロRNA / 細胞増殖 / 腫瘍幹細胞 / アレイ分析 |
研究概要 |
本研究の目的は、マイクロRNAを利用した悪性髄膜腫に対する新規治療法確立の基盤を作ることである。そのためにまず、悪性髄膜腫と良性髄膜腫の臨床サンプルを用いてマイクロRNA発現を比較し、悪性髄膜腫で強く発現しているマイクロRNAを選出する。次に培養悪性髄膜腫細胞に対してこれらの相補的RNAあるいはオリゴDNAを順次投与して増殖抑制効果の最も高いマイクロRNAを抽出する。候補となるマイクロRNAが選定できたら、マウスに移植した悪性髄膜腫に対する腫瘍抑制効果や、髄膜腫幹細胞に対する機能抑制効果を明らかにする計画である。 本年度は良性髄膜腫4例と悪性髄膜腫4例の手術摘出標本よりRNAを抽出し、悪性髄膜腫に特異的に発現しているマイクロRNAのプロフィールをRNAアレイにより調べた。 悪性髄膜腫で2倍以上発現の上昇しているマイクロRNAは19種類、1/2以下の発現であったものが31種類認められた。miR-335は髄膜腫において増殖を促進する作用があることが近年報告された(Shi L et al. JNeurooncol 2012)が、我々の標本においても悪性髄膜腫で発現が有意に上昇していた。一方、miR-200aは発現抑制を行うことにより腫瘍増殖作用を示すことが報告されている(Saydam O et al. Mon. Cell. Biol. 2009)が、今回の解析では抽出されなかった。 同時に悪性髄膜腫の培養細胞系確立を試み、2例の培養細胞系が作成され、凍結保存された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時に予定していた本年度の実験計画は、 ①手術摘出標本の良性髄膜腫と悪性髄膜腫よりRNAを抽出し、マイクロRNAアレイにより発現量の差があるマイクロRNAを抽出する。②抽出したマイクロRNAに基づき、悪性髄膜腫培養細胞における当該マイクロRNAの発現を確認する。③培養細胞にマイクロRNAのオリゴRNAを投与して増殖抑制効果を比較する。④増殖抑制あるいは促進効果の高いマイクロRNAを選出することであった。 本年度はマイクロRNAの抽出まで行うことができ、最終的に悪性髄膜腫培養細胞系を確立することができたが、ターゲットとすべきマイクロRNAの選別までは至らなかった。培養細胞を安定させるまでに時間を要したことが原因であった。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、選別されたマイクロRNAに対して同一(mimics)あるいは相補的(inhitbitor)オリゴヌクレオチドを合成し、悪性髄膜腫培養細胞に導入する。 導入後の細胞増殖をMTTアッセイで確認し、もっとも増殖抑制効果があったマイクロRNAを抽出することを目標とする。 同時に文献でも報告されているmi-RNA335の発現を臨床サンプルで確認し、増大速度あるいは浸潤性との関連を調べ、臨床的意義を検証する。 この研究により、培養細胞で抽出されたマイクロRNAを臨床応用する方向性が確認できるものと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
納品が年度内に間に合わなかったため。 実験試薬として次年度も継続して使用予定
|