研究課題/領域番号 |
25462271
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山田 和慶 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (00398215)
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研究分担者 |
倉津 純一 熊本大学, その他の研究科, 教授 (20145296) [辞退]
篠島 直樹 熊本大学, 医学部附属病院, その他 (50648269)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 悪性神経膠腫 / 電場変容 / パルス電流 / ヌードマウス |
研究実績の概要 |
本研究は、悪性神経膠腫の新しい治療モダリティーとして注目されている電場変容手段に着目し、腫瘍内に直接挿入した刺激電極よりパルス電流を与え、様々な刺激パラメータやパターンによる治療効果を、実験動物 (マウス) を用いて検討するものである。この研究の成果を踏まえて、将来的には、運動異常症に対する脳深部刺激療法 (Deep Brain Stimulation; DBS) と類似の手段により、脳幹など脳深部に位置する神経膠芽 (glioblastoma; GBM) 治療への臨床応用を構想している。 1)ヒト由来悪性神経膠腫 cell line の確立;K10025 anaplastic oligoastrocytoma, primary culture cell line を、以下の条件下で確立させた。Media: DMEM F-12 HAM+ penicillin, streptomycin, and amphotericin B + Gluta-Max + B-27 サプリメント + N2 サプリメント + インスリン + ヘパリン + Leukemia inhibitory factor +EGF + bFGF, at 5% CO2, 37℃。 2)短期増大皮下腫瘍モデルの確立;ヌードマウス (CD1-Foxn1nu) の背部皮下に、上記ヒト由来悪性神経膠腫培養細胞 (1x106 cells) を注入し、1ケ月間で直径2cmに増殖する短期増大皮下腫瘍モデルを確立した。 3)腫瘍内電極による電気刺激実験;腫瘍表面の皮膚に小切開を設け、DBS電極 (モデル 3389-28, メドトロニック社製)を腫瘍に挿入し、DBS装置 (エクスターナルシステム3702,メドトロニック社製)によって、2(+)3(-)の双極一回刺激 (60分) を、刺激幅: 450μsec、刺激頻度: 130 Hz、刺激強度: 5 V の条件で行った。 4)組織学的検討; 刺激後2-3日で、皮下腫瘍を摘出し、ホルマリン固定・パラフィン包埋後、3μmの切片を作成し、H-E染色に加え、MIB-1 および TUNEL 染色を加え、刺激部 (contact 2 および 3 周囲) と非刺激部 (contact 0 および 1 周囲)の組織学的差異を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成27年度には、上記成果に加え、様々な電気刺激パラメータによる、一回刺激および反復間欠刺激を行う予定であった。また現在解析中の組織学的変化の結果を出す予定であったが、モデル確立に時間を要し、これが達成できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、研究期間を延長した。モデルの確立と、様々な電気刺激パラメータによる実験を行う。そして、腫瘍に対する電気刺激による組織学的変化をH-E染色、MIB-1およびTUNELにより解析し、細胞分裂およびアポトーシスの状態について検討する。最終的には、電気刺激の治療効果の判定を、腫瘍サイズと個体生存期間を測定することにより、判定する。 (次年度使用額が生じた理由と使用計画) (理由)実験進展がやや遅れ、サーモグラフィーを使用するに至らず、これを購入しなかったため、次年度に繰り越した。 (使用計画) サーモグラフィーを購入し、電気刺激の温度変化の有無について検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者および研究分担者の日常業務の多忙により研究が計画通り進行しなかった。このため研究計画変更に伴い、補助事業期間を1年延長した。
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次年度使用額の使用計画 |
動物モデル作成、組織学検討遂行を行う。動物モデルに対する電場変容実験の過程で、温熱の影響を検証するため、サーモグラフィーの購入を行う。
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