DDS製剤の悪性脳腫瘍治療への臨床展開を目的として脳腫瘍細胞因子と腫瘍組織環境因子に着目して基礎的検討を行った。標的とする因子は悪性腫瘍に血液凝固異常が多発することから外因系凝固のトリガー分子である組織因子を選定し、抗組織因子モノクローナル抗体を用いた薬剤送達法を検討した。先ず、神経膠腫臨床検体の免疫染色を行い悪性度が高まるにつれ組織因子が高発現することを確認した。次に膠芽腫細胞株を皮下移植した動物実験を行って抗組織因子抗体が腫瘍に高集積し、正常臓器には集積しないことを確認した。硬組織因子抗体に抗癌作用を持つ薬剤を付加した抗体薬剤複合体への展開が期待される。
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