研究課題/領域番号 |
25462280
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研究機関 | 明治国際医療大学 |
研究代表者 |
田中 忠蔵 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 名誉教授 (80163541)
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研究分担者 |
樋口 敏宏 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 教授 (80218700)
梅田 雅宏 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 教授 (60223608)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 慢性疼痛 / fMRI / default mode network / 関節包内運動 / 仙腸関節 / 関節運動学的アプローチ |
研究概要 |
本研究の目的は、脳機能画像法(fMRI)の一種であるdefault mode network(DMN) の解析を応用し、島皮質や頭頂連合野といった痛み関連領域の果たす役割に着目してヒトが感じている疼痛の脳内処理過程を解明する事である。今回着目した頭頂連合野は、生理的な痛みよりも自覚的痛みに関連すると言われている。AKA( arthrokinematic approach)-博田法は関節原性の痛みに効果がある徒手療法であり、関節包内運動課題でこの頭頂連合野が特異的に活動する結果が得られ報告している。本年度は、健常被験者を対象とした撮像シーケンスの調整および解析法の検証を行った後、痛みの性質と脳賦活パターンの解析するコントロールとして、resting state(rs)-fMRIの測定を実施した。また、頭頂連合野とAKA刺激との関係をしらべるために、健常人で3ヶ月以上続く腰痛を自覚する被験者11名に対して、仙腸関節AKA法治療前後にrs-fMRIを計測した。その結果、仙腸関節AKA前後で腰痛症状に関するVASに有意(p<0.01)な改善が認められた。慢性腰痛の治療前後のrs-fMRIの解析から、a)独立成分分析方(ICA)で37独立成分が検出され、内14のRSN(resting state network)を検討し、仙腸関節AKA前後において、dual regression解析で有意差がなし。 b) seed based analysisによる116の脳内seedの検討では、治療前後のcorrelation matrixの分布にpain networkやDMNの関連領域で差がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はヒトを対象として、rs-fMRIの方法論に関する予備的実験を順調に終了し、実際に腰痛症状を持つ被験者に対しての検討を行い、AKA法による腰痛症状の改善とAKA法前後での安静時脳活動の変化を捉えた。これは当初の計画以上に進展している。しかし、AKA法前後の統計学的な有意差を検出できていないことから、来年度の課題もあるため、「おおむね順調に進展している」と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初の計画に沿って研究を推進する。来年度は研究成果の論文化と共に、fMRIと並行して行う脳内代謝物計測(multi-voxel MRS)についても実施していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画していた海外での成果発表を事情により取り消した。次年度にこの成果発表を海外で行うこととした。また、被験者が、腰痛を有し、かつ日常生活をおくれ、またこの6ヶ月以内に治療を受けていないとの条件を満たす必要があった。この条件に合致する被験者数が予定数を下回った。これも次年度に繰り延べて行う予定とした。 1)昨年度予定していた海外での成果発表と、情報収集を行う。2)前項で述べた条件に合致する被験者を対象としてfMRI実験を行うための被験者謝金に必要な経費として、1)、2)共に平成26年度請求額と合わせて使用する予定である。
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