本研究では脳活動の3次元的な解析が可能な脳機能画像法(f-MRI)と近年注目されるdefault mode network (DMN)の解析を利用し、疼痛の脳内処理過程の検討を行った。他動的な関節内包運動である関節運動学的アプローチ(AKA)は、運動器系の痛みに著効を示す。慢性的な腰痛を自覚する被験者に対し、AKAを施術し、痛みの緩和に伴う脳活動の変化を解析した。被験者間でS1領域の刺激応答性やDMNに違いが見られた。慢性的な痛みがS1における賦活に何らかの修飾を行う可能性があること、また、痛みの改善がDMNやその他の脳内ネットワークに影響をおよぼす可能性があることが示唆される結果が得られた。
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