研究課題
平成27年度は成人グリオーマの大規模コホートに対する分子分類をvalidationする目的で193症例の膠芽腫を集め、IDH/TERT変異, MGMTメチル化などを調べた。最終的には両コホート合わせて976例に対して解析を行った。その結果成人グリオーマはIDHとTERT変異により4型に分類することが可能で、IDH変異・TERT変異を持つGroup Aは最も予後が良く、ほとんどの例で1p19q欠失を有する乏突起細胞腫であった。IDH変異のみを有するGroup Bは中間の予後を示し、星細胞腫が多かった。TERT変異のみを持つGroup Dは最も予後不良でほぼ全例が膠芽腫であり、IDH/TERT変異を持たないGroup Cは様々な組織型から構成された。標準治療を受けた膠芽腫の中ではTERT変異とMGMTメチル化の間に交絡作用を認め、最も予後が不良なのはTERT変異とMGMT非メチル化を示す膠芽腫であり、次いでTERT野生型・MGMT非メチル化膠芽腫、TERT野生型・MGMTメチル化膠芽腫、TERT変異・MGMTメチル化膠芽腫の順に予後が良かった。以上のようにTERT野生型MGMTメチル化の予後に対する影響はTERT変異の有無に左右されることが示された。さらにIon Torrentを用いたGlioma Mutation Screening Panel (GMSP)を用いて126例について解析を行った。93遺伝子を91%カバーする5442のampliconのうち97.4%において100以上のリード数が得られ(平均877)、またIDH1などいくつか既知の変異が検出され、その有用性が確認された。Group Cの腫瘍についてはPDGFRAやFGFR1といった膜受容体チロシンキナーゼの変異が認められ、GMSPによる変異スクリーニングが新たな治療標的の検出に有用であることが示された。
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