研究実績の概要 |
末梢神経欠損の新しい治療法として我々が開発した末梢神経断端緩徐伸長法の実用化に向けて 臨床研究開始後に生じた新たな課題を解決するために本研究を計画した。(1)自動伸長システムの開発:神経伸長器の両端に小型モーターを取り付け間歇的ではなく持続的に伸長を行えるシステムを開発した。機器の安全性を評価する実験を行い、家兎を用いた持続伸長の実証実験を行った。(2)神経周囲の癒着防止技術の開発:計画当初は癒着防止効果を発揮する材料としてヒアルロン酸やTC7を想定していたが、他の研究者の論文や学会発表からこれらの材料よりも多血小板血漿の効果を期待して、多血小板血漿を用いた実験を行った。多血小板血漿には神経再生を促す成長因子が含まれていることに着目した。家兎坐骨神経20mm欠損モデル(周囲筋を焼灼し癒着を惹起)に神経伸長器を取り付け、神経伸長効率・癒着の程度を組織学的に評価した。また、多血小板血漿を投与しない群を対象として神経再生能を比較した。結果:多血小板血漿群と日投与群で癒着の程度に有意な差は見いだせなかったが、神経再生は多血小板血漿群で良好な傾向を示した。(3)臨床研究の継続 筑波大学附属病院倫理委員会承認の下,2009年より行っている臨床研究を継続した。分娩麻痺乳児の腕神経叢修復用の神経伸長器の開発が必要となり、新たな神経伸長器:巻き取り式神経伸長器を作成した。
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