研究課題
二分脊椎症は人間では自然発症し、葉酸の投与で発症が抑制されることが判明しているが、原因は不明である。本研究により二分脊椎の神経回路異常が明らかになれば、これまでの研究を格段に発展させることが可能であり、本疾患の病態解明に意義の有る貢献が出来るものと考えている。受精卵を孵卵器にいれ、孵卵3日目に卵殻を切り取り羊水を一部取り除いて、鶏胚の脊髄背側を微少メスにより切開する。開いた卵殻はテープで閉じた。本手術は極めて繊細で、適当な指導者の下で訓練し習熟しなければ安定した結果は得ることが難しい。通常の孵化率は90%以上であるが、手術後の卵を動かすことが出来ないので孵化率が10%程度と極めて低くなる。卵の開口部のテープをマニキュアでシールドし、孵卵器の転卵角度を小さくすることにより孵化率を大幅に改善した。また、最新の孵卵器を購入し実験の効率化を図った。なお、本手術は絹谷政江名誉教授の指導により、可能となった。絹谷名誉教授は世界で始めてニワトリとウズラのキメラ孵化に成功し本モデルにも造詣が深く、当講座において本実験を担当する留学生の実験指導をして下さった。本モデルでは、脊髄背側の切開の長さにより程度の異なる運動障害と下肢の変形が認められる。特に下肢の姿態や関連する筋肉の萎縮等について動画データとしての投稿ができるようデジタルカメラ詳細に記録した。運動障害確認後、順行性トレーサーであるコムギ胚芽凝集素HRP標識物(WGA-HRP)を脊髄神経節に注入し、3日後に灌流固定し、脊髄を取り出し、蛍光色素結合抗HRP抗体の溶液で2日インキュベート。脊髄を蛍光顕微鏡で観察、蛍光標識された感覚神経を観察した。現在、反応は見られており、二分脊椎では標識された軸索の走行異常が認められる。現在のところ、標識の差は認められるが、バラツキが多く、実験数を増やす必要がある。
2: おおむね順調に進展している
孵卵器の温度が不安定であったこと、新しい留学生が本実験に加わって実験の遂行体勢は万全になったが、まだ実験にムラがあるなどの問題が生じた。しかし、初年度としてはおおむね順調に進展していると思われる。
現在のところ、標識の差は認められるが、バラツキが多く、実験数を加える必要がある。バラツキの原因がどこにあるのか、検討するとともに実験例を増やしてみなければならない。孵卵させることは今まででも最大の壁であるので、モデル作製し、孵卵前に正常と二分脊椎の回路の差を見ることも検討中である。取りあえず、抑制ニューロン数、運動ニューロン数を正常と二分脊椎ヒヨコにおいて免疫組織化学的に比較することを始めている。
受精卵を購入する予定であったが、年度末に学会が重なった為に実験回数が減少した為。6万円余りの繰越金であり、次年度は多くの実験を行うので問題なく使用できる。
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