研究課題/領域番号 |
25462301
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
堂園 将 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10618945)
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研究分担者 |
寺井 秀富 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20382046)
豊田 宏光 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50514238)
中村 博亮 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60227931)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 黄色靭帯肥厚 / 機械的ストレス / 腰部脊柱管狭窄 / ウサギ / real-time PCR |
研究概要 |
超高齢者化社会の到来により、腰部脊柱管狭窄症は歩行障害をきたす疾患のうち最も頻度が高いものとなった。腰部脊柱管狭窄症の主原因は黄色靱帯の肥厚と椎間板の変性に伴う膨隆であるが、黄色靭帯の肥厚のメカニズムは未だ解明されていない。本研究の目的は黄色靭帯肥厚のメカニズムを、モデル動物を作製して分子生物学的に解明することである。現時点における治療としては肥厚した黄色靭帯を外科的に摘出するしか方法はないが、肥厚のメカニズムを解明することができれば、薬物などのより低侵襲な治療方法の開発も可能となり、高齢者に多い本疾患の治療に大きく貢献できると考えられる。 研究実施計画として①ウサギを用いた黄色靭帯肥厚モデルの作成と評価②黄色靭帯肥厚における分子変動の網羅的検索③特定された分子の過剰発現・発現抑制による黄色靭帯肥厚の予防法の開発である。 ①に関して日本白色家兎を用いて腰椎側方固定術(応力集中群: L2/3・L4/5に固定プレートを用いて椎間固定、 sham群の2群のモデルを作成した。経時的に犠牲死させL3-4椎体を採取しL3/4椎間の黄色靭帯の組織をパラホルムアルデヒド固定後にトルイジンブルー染色・II型コラーゲンの免疫染色を行ない、定量的な評価を行った。 結果は、応力集中群のL3/4レベルでの椎間可動角はSham群と比較して有意に増大していおりこのことより今回の動物モデルで椎間に応力が集中している可能性が示唆された。また、トルイジンブルー染色における定量的評価では応力集中群で有意に染色面積の増加をみとめ黄色靭帯における軟骨化生が生じていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は黄色靭帯肥厚動物モデルの妥当性を検証し、黄色靭帯肥厚のメカニズムを分子生物学的に解明することであり、また新たな治療方法開発の糸口を発見することである。研究計画として①機械的ストレスによる黄色靭帯肥厚モデルが妥当であることを証明する。②黄色靭帯肥厚モデルにおける変化を組織学的あるいは分子生物学的に評価する。③黄色靭帯肥厚の関与する特定の分子を同定した後、その特定分子に介入することで黄色靭帯肥厚の予防あるいは発生を促すことが可能であることを証明することである。 ①については組織学的および画像的評価から検討を加え概ね達成された。 現在②について実験段階である。黄色靭帯肥厚モデルの作製にはウサギを使用しているが、手術から犠牲死まで4か月かかり、またウサギの入手にも時間がかかることから、やや実験が遅れていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は黄色靭帯肥厚モデルにおける変化を組織学的あるいは分子生物学的に評価し、黄色靭帯肥厚の関与する特定の分子を同定した後、その特定分子に介入することで黄色靭帯肥厚の予防あるいは発生を促すことが可能であることを証明することである。 まずは機械的ストレスによる黄色靭帯肥厚モデルが妥当であることを証明するために、II型コラーゲンの免疫染色にて黄色靭帯内に軟骨様の変化の有無を定量的に評価し、Elastica Van Gieson染色で椎間負荷群の黄色靭帯内で弾性線維減少の有無を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究に対する学会発表をしていないため、旅費としての使用がなかったため。 積極的な学会発表を行い旅費として使用する。可能であれば海外学会に発表する。
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