研究課題
顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)が脊髄後角ニューロンの興奮性シナプス伝達に及ぼす影響について、ラット脊髄横断スライスにパッチクランプ法を用いて解析を行った。その結果、全体的な傾向として興奮性シナプス後電流(EPSC)の頻度が増加傾向であったが、減少性を示すニューロンもあり、G-CSFに対する脊髄後角ニューロンの反応は何らかの細胞特性を有する可能性があると思われた。さらに生体に近い環境下であるin vivo パッチクランプ法にて同様にG-CSFのが脊髄後角ニューロンの興奮性シナプス伝達に及ぼす影響を解析した。in vivo パッチクランプ法におけるG-CSFの脊髄後角ニューロンのEPSCに対する影響はスライス標本とは違い、全体的に頻度の抑制傾向がみられたが統計学的な有意差はみられなかった。脊髄スライス標本は作製過程における細胞損傷が結果に何らかの修飾を起こしている可能性があり、in vivo パッチクランプで得られた結果の方がより生体内でのG-CSFの作用に近い結果と考えられた。次に、脊髄スライスを用いて抑制性シナプス後電流(IPSC)に対するG-CSFの作用を解析した。その結果、特にIPSCに対する有意な作用は認めなかった。以上の結果から、G-CSFは脊髄後角ニューロンに対する一次求心性線維からの興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の放出を弱いながらも抑制する事で、鎮痛効果を有する可能性が示唆された。
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Molecular Pain
巻: 12 ページ: 1-12
10.1177/1744806916644927