これまで診断が困難であると考えられてきた腰椎椎間孔部狭窄症の機能診断として新しく開発した電気生理学的手法を継続して行いデータ蓄積を行った。この新しい腰椎椎間孔部狭窄症の電気診断法(Distal motor latency: DML法)が有用であることを多数の学会で報告し、Asian Spine Journalにも掲載された。 最終年度も引き続きDML法の検査を行い、データの蓄積を行い、3年間の間に350例におよぶデータを蓄積することができた。このことにより腰椎椎間孔部狭窄症の新しい電気診断法であるDML法を確立することができ、実際の臨床の現場でこの検査法を駆使し神経の障害高位を診断し手術治療の計画に役立てている。 この手法が確立できたことにより、これまで問題とされてきた腰椎椎間孔部狭窄症の見落としなどによる術後症状遺残や多数回手術を減少させることができると考えている。これが本研究で得られた一番重要な成果である。当初の研究実施計画の最終目標として、専用のカテーテル電極を作成しそれを用いることでより詳細な障害高位診断を行うことを最終目標としていた。しかしながら我々の施設では内視鏡下に手術を行うことも多く、現在入手可能なカテーテル電極では内視鏡のレトラクター越しに正確な位置へ電極挿入することが困難なことも判明した。そこで今後産学連携し電極付硬膜外内視鏡の開発し、最終目標の達成とさらなる脊椎疾患における障害高位診断の発展を計画している。
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