研究課題
ラット腰椎 (L4-5)両側椎間関節全切除モデルのCatWalk法での歩行解析では、他の確立された腰痛モデルと同様の歩行異常が観察された。単純X線像での椎間可動性の増大や組織学的に椎間板の基質産生の増加、細胞数減少、終板軟骨の亀裂が認められた。椎間板に直接侵襲を加えずに経時的に椎間板変性が出現し、これが遅発性の歩行異常の発現に関連することを明らかにした。3D μCTではL4-5椎間の終板の不整が全例に認められ、前方骨棘形成とともに後弯変形がみられた。L4-5レベルの椎間高は、対照に比し、開大し、逆にL3-4、L5-6レベルの隣接椎間高の狭小化がみられた。組織学的にも椎間関節切除に伴い、椎間板変性が当該レベルのみではなく隣接椎間にまで出現することをスコアリングシステムで明確にした。椎間板変性機序と疼痛行動の関連をみる目的で非ステロイド性消炎鎮痛薬、アミトリプチリン塩酸塩、プレガバリン、ノイロトロピンを作成したラットモデルに投与した。腰痛を示唆する歩容異常はプレガバリン投与でのみ有意な改善がみられた。馬尾、神経根への影響は組織学的には認められなかったが、変性椎間板内での神経障害が歩容異常に影響している可能性を示唆した。椎間板内ではアグレカンの減少、インターロイキン(IL)-1、TNF-、NGFの増加が免疫組織化学でみられた。また、反復性の寒冷刺激ストレスで、このモデルの歩容異常が増悪したが、痛み刺激に対する痛覚過敏には変化はみられなかった。ストレスに対する腰痛発現機序解明のためのモデルとしても期待できる。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
臨床整形外科
巻: 50 ページ: 883-888
European Spine Journal
巻: 24(9) ページ: 2085-2094